第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P64] 一般演題・ポスター64
チーム医療04

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:40 ポスター会場2 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山田 知輝 (大阪警察病院 ER・救命救急科)

[P64-2] 多職種回診及びEarly Mobilizationプロトコル導入効果の検証

高田 将規1, 岡安 健1, 村井 純1, 池松 幸二1, 酒井 朋子2 (1.東京医科歯科大学 医学部 附属病院 リハビリテーション部, 2.東京医科歯科大学医学部附属病院リハビリテーション科)

【はじめに】近年、ICUにおけるearly mobilizationが、退院時ADLの拡大、せん妄の発生率減少、人工呼吸器装着期間を短縮することが報告されており、早期からの運動介入は常識となりつつある。当院では2016年よりICUにて多職種回診(以下、回診)を開始し、理学療法士、リハビリテーション医が回診に参加した。同時に、多職種が共通認識でリハビリテーション介入できるearly mobilizationプロトコル(以下、EMプロトコル)を導入した。本研究では、回診とEMプロトコル導入による効果を検証することを目的とした。【方法】対象は、2015年10月~2017年9月までの2年間にICUに入室、リハビリが処方された患者232名とし、2015年10月~2016年9月を導入前群(以下、preEM群)、2016年10月~2017年9月を導入群(以下、EM群)とした。比較項目は、PT、OT、ST延べリハビリ処方数、人工呼吸器装着期間、ICU入室期間、ICU入室からリハビリ開始までの期間(以下、リハ開始期間)、ICU退室時ADL(ベッド上、端坐位、立位、歩行)、入院期間、退院時ADL(ベッド上、座位、立位、歩行、自立)、退院時転帰(死亡、転院、自宅退院)とした。統計処理は正規性の検定としてShapiro-Wilk検定を行い、Mann-Whitney U検定を用いた。ADL項目、転帰についてはχ2検定、Fischerの正確確立検定を用いた。【結果】リハビリ処方数はpreEM群166件、EM群273件であった。リハ開始期間(中央値preEM群5日/EM群4日)、ICU入室期間(中央値preEM群11日/EM群6日)、入院期間(中央値preEM群67日/EM群45日)項目では、EM群で有意に各期間の短縮がみられた。人工呼吸器装着期間、ICU退室時ADL、退院時ADL、退院時転帰に有意差はみられなかった。【考察】リハ開始期間短縮については、リハビリ介入時の問題点として主科コンサルテーションから処方までに時間差が生じることが一般的にあげられるが、回診にリハビリ職種が参加することで同日介入が可能となり、リハビリ処方が必要な患者に対し介入時期を逃さずに抽出・介入できたことが要因と考えられる。ICU入室期間、入院期間の短縮は、多職種回診により、ICUと主科、コメディカルの連携が図れたことで目標の共有ができたことによるものと考えられた。本研究より、多職種回診及びEMプロトコル導入がリハビリ処方数を増加させ、リハ開始期間、ICU入室期間、入院期間を短縮することが示唆された。