第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 研究

[P65] 一般演題・ポスター65
リハビリテーション 研究01

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:50 ポスター会場3 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:濱口純(東京都立多摩総合医療センター救命救急センター)

[P65-1] 当院ICUにおける脳出血患者の初回リハビリテーション介入時所見とFIM効率を利用した効果予測因子の検討

宮永 陽亮1, 高橋 章大1, 有田 美菜実1, 濱川 俊朗2, 成尾 浩明3 (1.潤和会記念病院 リハビリテーション療法部, 2.潤和会記念病院 集中治療部, 3.潤和会記念病院 救急部)

【目的】近年,在院日数の短縮が求められている.しかし,急性期では予後予測が難しく転帰先の判断に難渋することが多い.本研究の目的は,ICU入室中の脳出血患者のリハビリテーション(RH)介入初期の指標を利用し,RH効果の客観的指標の有用性を検討することである.
【対象】平成26年~平成29年に当院へ救急搬送され,ICUに入室した脳出血患者347人のうち,転帰が回復期病棟であった170人を対象とした.
【方法】測定時期はICU入室時とし性別や年齢などの患者背景を調査した.また,National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)と片麻痺の回復過程をステージ化した評価法であるBrunnstrom Stage(Brs)を測定した.さらに回復期入棟時Functional Independence Measure(FIM),退院時FIM,在院日数を後方視的に調査した.次に,退院時のRH効果を表すFIM効率((退院時FIM総得点-入院時FIM総得点)/在院日数)を算出し,FIM効率の全国平均の値(0.31)を基準として,平均値以上をRHに効果があったとする改善群,平均値以下をRHに効果がなかったとする非改善群の2群に分類した.統計学的処理は,改善群と非改善群の2群と測定項目に対し,対応の無いt検定を用いた.有意差が確認された項目については,前述した2群の要因分析を多重ロジスティック回帰分析で行った.加えてROC曲線を用いてカットオフ値を算出した.統計ソフトはSPSSを使用し,有意水準は5%とした.
【結果】改善群(n=88)と非改善群(n=82)で群間に有意差を認めた項目は,年齢,JCS,NIHSS,Brs上肢,Brs手指,Brs下肢であった.多重ロジスティック回帰分析の結果は,年齢(オッズ比1.043,的中率63.7%)とNIHSS(オッズ比1.080,的中率62.0%)とBrs手指(オッズ比:1.278,的中率60.2%)が採択され,ROC曲線のカットオフ値は,年齢70,NIHSS11,Brs手指4であった.
【結論】当院ICUに入室した脳出血患者におけるRH初回介入時において,年齢70歳以下,NIHSS11点以下,Brs手指IV以上の患者が,この先のRH効果が高いと推測される.以上より,発症早期で転帰予測判断の一助となる可能性が示唆された.