第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 研究

[P65] 一般演題・ポスター65
リハビリテーション 研究01

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場3 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:濱口純(東京都立多摩総合医療センター救命救急センター)

[P65-3] 当院ICUにおける早期気管切開術施行患者に対する早期リハビリテーションの効果

阿妻 伸幸1, 渡邊 大輔1, 鳥屋 優太1, 河原 一剛1, 宮下 春紀1, 森島 克明2, 渡邉 朋徳2, 長澤 宏樹3, 大森 一彦3 (1.順天堂大学 医学部附属 静岡病院 リハビリテーション科, 2.順天堂大学 医学部附属 静岡病院 看護部, 3.順天堂大学 医学部附属 静岡病院 救急診療科)

【背景】近年,ICUでは早期離床を中心としたリハビリテーション(以下:リハ)介入が推奨され,早期リハの有用性が多数報告されてきている.対象は外傷や敗血症,CPA蘇生後脳症など様々であり,挿管にて人工呼吸器管理を要する症例も多い.また,挿管後の気管切開術はICUで広く行われており,長期挿管が予想される場合に選択される手術である.ICUにおける外傷患者に対する早期気管切開術施行は,人工呼吸器管理期間の短縮やICU滞在日数を減少させるとされ,早期施行の有用性が報告されてきている.人工呼吸器管理患者に対するリハの有用性も多数報告されているが,ICUにおける早期気管切開術と早期リハとの関係性を述べている報告はみられない.【目的】本研究の目的は,当院ICUにおける早期気管切開術施行患者に対する早期リハの効果を検討することである.【方法】当院救急診療科にて2018年4月から7月までにICUに入室した患者のうち,挿管後,気管切開術を施行した16例中,死亡した3例を除く13例を対象とした.入院後3日以内に気管切開術を施行した群を早期群,5日以降に施行した群を晩期群とし,比較検討した.調査項目は診療録より,患者背景として年齢,性別,原疾患,ICU滞在日数,人工呼吸器管理期間,気切チューブ抜去の有無.アウトカムは早期リハによる離床開始までの期間,ICU退室時ICU Mobility Scale(以下:IMS),退室時Barthel Index,転帰とした.本研究のデザインは後ろ向きコホート研究である.【結果】対象は年齢60.9±18.1歳,男性9例,女性4例.そのうち早期群6例,晩期群7例であった.患者背景に有意差は認めなかった. ICU退室時のIMSは中央値で早期群5,晩期群3であり,退室時における活動度は早期群が高かった.【結論】ICU退室時IMSは早期群で高く,早期気管切開術施行患者に対する早期リハ介入は早期の活動度向上に繋がることが示唆された.今回の結果は,ベッド上の端座位か車椅子乗車可能かという差を示す.車椅子乗車は患者のADL向上に関与し,乗車することで患者家族を含めた不安の解消,QOL向上に繋がるとされている.また,医療スタッフには看護や医療を提供することに対するモチベーション向上に繋がるとされる.よって,早期気管切開術施行患者に対する早期リハ介入は,ICU在室中の活動量向上に繋がり,患者だけでなく患者家族や医療スタッフに対しても良好な影響をもたらすことが考えられた.