第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 研究

[P66] 一般演題・ポスター66
リハビリテーション 研究02

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場4 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:對東 俊介(広島大学病院)

[P66-1] 当院における理学療法士のICU専任配置の取り組みと影響についての検討

伊左治 良太1, 大野 博司2 (1.洛和会音羽病院 リハビリテーション部, 2.洛和会音羽病院 ICU/CCU)

【背景】近年,集中治療室(ICU)における早期リハビリテーションの重要性は周知されており,2018年診療報酬改定においては,早期離床・リハビリテーション加算が新設され,早期離床・リハビリテーションチームによる総合的な離床の取り組みが評価されている。当院でも2018年1月より理学療法士(PT)1名をICU専任として配置し,早期離床・リハビリの充実化を図った。また,ICU入室中も専任PTの介入のみでなく,従来の担当PTによる介入を継続することで,ICU退室後もシームレスに多職種連携できるような体制とし,On-the-Job Trainingでの指導も充実させている。【目的】本研究の仮説を専任PTの配置により,リハビリ処方率の増加,リハビリ・離床開始までの期間の短縮が図れるとし,入院経過に及ぼす影響を専任配置前後で比較検討した。【方法】対象は当院ICU(semi-closed)に入室しリハビリ処方があった症例で,専任配置前の2017年1月から7月までの273例(平均年齢69.6±13.9歳)をcontrol群,専任配置後の2018年1月から7月までの301例(平均年齢70.5±13.7歳)を専任群とした。アウトカムはリハビリ処方率,ICU入室からリハビリ開始までの期間,ICU入室から端坐位・立位・歩行開始までの期間,一日あたりのリハビリ時間,ICU在室日数,退院時FIM(運動項目)とし,電子カルテより後方視的に比較検討した。統計処理は対応のないt検定を用い、有意水準は5%未満とした。【結果】リハビリ処方率は61.1%から65.3%と増加の傾向にあった。リハビリ開始までの期間(1.43±1.25日 vs 1.10±0.99日),一日あたりのリハビリ時間(40.56±28.88分 vs 45.35±22.83分)において有意差を認めた(p<0.05)。端坐位(2.76± 3.11日 vs 2.65±2.71日)・立位(3.63±3.91日 vs 3.41±3.16日)・歩行(5.86±6.47日 vs 5.50±5.47日)まで期間,ICU在室日数(4.33±8.75日 vs 4.11±6.46日),退院時FIM(運動項目)(69.46±27.42 vs 68.42±27.47)では有意差を認めなかった。【結論】ICUへPTを専任配置することで,より早期のリハビリ介入が可能となった。しかし離床開始までの期間・在室日数の短縮,ADLの向上には至らず,介入方法や専任PTの増員など検討が必要である。