第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 研究

[P66] 一般演題・ポスター66
リハビリテーション 研究02

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場4 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:對東 俊介(広島大学病院)

[P66-2] 当院救命ICUにおけるせん妄・肺炎の発症状況とその特徴

大久保 裕也1, 武井 圭一1, 高野 敬士1, 藤本 幹雄2, 山本 満2 (1.埼玉医科大学総合医療センター リハビリテーション部, 2.埼玉医科大学総合医療センターリハビリテーション科)

【背景】当院救命ICUではEarly Mobilization(EM)を積極的に実施し、合併症予防に取り組んでいる。EMの効果は、敗血症等の内因性疾患の多いICUでの報告が多く、外傷疾患の多い救命ICUでの報告は少ない。特に合併症の発症率やその特徴を検討したものはみられない。【目的】救命ICUにおける合併症予防への取り組みに繋げるために、せん妄と肺炎の発症状況とその特徴を調査した。【方法】2017年4月から2018年3月に当院救命ICUへ入室中に理学療法(PT)を処方された299例のうち、再入室例を除外した280例を対象とした。疾患は、外傷疾患が70.2%、敗血症等の内因性疾患が29.8%であった。調査項目は、ICU入室中のせん妄発症率、肺炎発症率、VAP発症率、各合併症発症例の疾患名とした。せん妄はICDSCで4点以上とした。肺炎は、診断にて治療開始となった例とし、原疾患が肺炎であった14例は除外した。せん妄と肺炎は、発症の有無で2群に分類し、年齢、Injury Severity Score(ISS)、PT開始までの日数(PT開始)、車いす乗車までの日数、ICU在室日数、在院日数、退院時Barthel Index(BI)を調査し、2群間で比較した。有意水準は5%とした。【結果】せん妄は、発症率が14.6%(41例)であった。疾患名は、頭部を含む多発外傷10例、頭部を含まない多発外傷8例、頚髄損傷5例、敗血症5例、四肢・胸部の単独外傷4例、CPA蘇生後4例、その他5例であった。せん妄群・非せん妄群の比較(中央値)は、年齢は73歳・67歳、ISSは21点・21点、PT開始は3日・3日、車いす乗車までの日数は4日・4日、ICU在室日数は9日・7日、在院日数は39日・30日、退院時BIは35点・50点であり、年齢のみ有意差を認めた。肺炎は、発症率が16.2%(45例)で、VAP発症率が34.6%(36例/104例)であった。疾患名は、CPA蘇生後10例、頭部を含む多発外傷9例、頚髄損傷9例、頭部単独外傷6例、頭部を含まない多発外傷5例、その他6例であった。肺炎群・非肺炎群の比較は、年齢は67歳・68歳、ISSは26点・19点、PT開始は3日・3日、車いす乗車までの日数は8日・3日、ICU在室日数は15日・6日、在院日数は40日・30日、退院時BIは0点・50点であり、年齢を除いた全てに有意差を認めた。【結論】せん妄発症率は14.6%であり、せん妄発症による在院日数や退院時ADLの悪化は認めなかった。肺炎発症率は16.1%であり、肺炎発症例は外傷の重症度が高く、意識障害や頸髄損傷などの呼吸不全を呈する疾患に多い傾向を認めた。