[P66-5] 胸骨正中切開による心拍動下冠状動脈バイパス術と低侵襲冠状動脈バイパス術におけるリハビリ進行状況の比較
【はじめに】
近年心臓血管外科手術の成績向上は目覚ましく、いかに手術の侵襲を減らすかが近年の課題となっている。当院においても低侵襲術が積極的に展開されつつある。特に多枝低侵襲冠状動脈バイパス術における臨床報告は少なく、リハビリに関連する報告も同様である。当院での胸骨正中切開法で施行された心拍動下冠状動脈バイパス術(以下 OPCAB)と、低侵襲冠状動脈バイパス術(以下 MICS CABG)についてのリハビリテーション進行状況を比較し報告する。【対象と方法】
2017年5月から2018年5月に当院で行われた単独 CABGは30(男性22,女性8) 例であり、全例off-pumpを対象として患者背景とアウトカム指標を比較し調査項目は後方視的に電子カルテから収集した。患者背景は年齢、性別、術時間、術中バランス、グラフト本数、eGFR、EFの比較を行った。アウトカムでは術後の立位開始日数、歩行開始日数、歩行自立日数、術後在院日数の比較を行った。歩行自立に関しては、福祉用具の使用の有無は問わず担当理学療法士が自立と判断した日数とした。当院の心臓血管外科術後のリハビリテーションプログラムは手術翌日から20m歩行、120m歩行、240m歩行、自転車エルゴメータ、シャワー浴、階段昇降へと離床を進めて行く。2群間の比較はχ2 検定及び対応のないt検定を用い、有意水準は 5%未満とした。【結果】
MICS CABG 群9例、OPCAB 群20例であった。MICS CABG群での患者背景は年齢 70.3±12.3歳、性別は男性 7名女性 2名、術時間 367.6±146.2分、術中バランス 2390.3±1258.8ml、グラフト本数 2.2±0.8本、eGFR 62.5±24.1ml/分/1.73m2 EF 62.5±24.1%であった。アウトカムでは、起立 2.1±1.4日、初回歩行 3.0±1.3日、自立歩行 5.5±3.2日、術後在院日数 15.6±3.0日であった。術時間のみ OPCAB群に比べ MICS CABG群で優位に高い結果(p=0.04)となり、その他有意な差は認めなかった。【考察】
Lapierre らによれば OPCAB群と比べ MICS CABG群では有意に在院日数や退院後の回復期間、日常生活における運動制限期間の短縮が得られる事が報告されている。当院では 心臓血管術後のリハビリプログラムに準じた介入を行なっている。プログラムに準じた介入が、アウトカムにおいて差が得られなかった要因の一つとして考えられた。今後、低侵襲術が普及してくる中でリハビリプログラムの使用や進行状況の見直しを行う必要性があると考える。
近年心臓血管外科手術の成績向上は目覚ましく、いかに手術の侵襲を減らすかが近年の課題となっている。当院においても低侵襲術が積極的に展開されつつある。特に多枝低侵襲冠状動脈バイパス術における臨床報告は少なく、リハビリに関連する報告も同様である。当院での胸骨正中切開法で施行された心拍動下冠状動脈バイパス術(以下 OPCAB)と、低侵襲冠状動脈バイパス術(以下 MICS CABG)についてのリハビリテーション進行状況を比較し報告する。【対象と方法】
2017年5月から2018年5月に当院で行われた単独 CABGは30(男性22,女性8) 例であり、全例off-pumpを対象として患者背景とアウトカム指標を比較し調査項目は後方視的に電子カルテから収集した。患者背景は年齢、性別、術時間、術中バランス、グラフト本数、eGFR、EFの比較を行った。アウトカムでは術後の立位開始日数、歩行開始日数、歩行自立日数、術後在院日数の比較を行った。歩行自立に関しては、福祉用具の使用の有無は問わず担当理学療法士が自立と判断した日数とした。当院の心臓血管外科術後のリハビリテーションプログラムは手術翌日から20m歩行、120m歩行、240m歩行、自転車エルゴメータ、シャワー浴、階段昇降へと離床を進めて行く。2群間の比較はχ2 検定及び対応のないt検定を用い、有意水準は 5%未満とした。【結果】
MICS CABG 群9例、OPCAB 群20例であった。MICS CABG群での患者背景は年齢 70.3±12.3歳、性別は男性 7名女性 2名、術時間 367.6±146.2分、術中バランス 2390.3±1258.8ml、グラフト本数 2.2±0.8本、eGFR 62.5±24.1ml/分/1.73m2 EF 62.5±24.1%であった。アウトカムでは、起立 2.1±1.4日、初回歩行 3.0±1.3日、自立歩行 5.5±3.2日、術後在院日数 15.6±3.0日であった。術時間のみ OPCAB群に比べ MICS CABG群で優位に高い結果(p=0.04)となり、その他有意な差は認めなかった。【考察】
Lapierre らによれば OPCAB群と比べ MICS CABG群では有意に在院日数や退院後の回復期間、日常生活における運動制限期間の短縮が得られる事が報告されている。当院では 心臓血管術後のリハビリプログラムに準じた介入を行なっている。プログラムに準じた介入が、アウトカムにおいて差が得られなかった要因の一つとして考えられた。今後、低侵襲術が普及してくる中でリハビリプログラムの使用や進行状況の見直しを行う必要性があると考える。