[P68-3] 劇症型心筋炎発症後の重度ICU-AWに対して継続した外来リハビリにより運動耐容能の改善が得られた一例
【背景】集中治療後症候群(PICS)の提唱に伴い、ICU退室後長期にわたる身体機能やADL、QOLの低下など、ICU環境における侵襲的治療が長期予後に与える影響について近年注目が集まっている。その1つであるICU関連筋力低下(ICU-AW)は、重度であるほど回復に時間を要し、数年後も身体機能が低下していることが報告されている。今回、重度ICU-AWを呈したが継続した外来リハビリにより、顕著な運動耐容能の改善が図れた症例を経験したので報告する。
【症例】69歳女性。劇症型心筋炎に伴う心原性ショックに対して大動脈バルーンパンピング(IABP)と体外式膜型人工肺(VA-ECMO)による補助循環管理をICUにて開始。ICU入室後第2病日に、心エコー上左室駆出率が10%まで低下したため、central V-A ECMOに移行し気管内挿管人工呼吸管理となった。第3病日より身体拘縮及び呼吸器合併症の予防目的に理学療法を開始。第12病日にECMO離脱、第13病日にIABP離脱となった。補助循環離脱後に敗血症性ショックに移行した為、強心薬の持続投与並びに持続血液透析(CHDF)による集学的治療を引き続き継続した。第18病日にCHDFを離脱し、第19病日に人工呼吸器から離脱した。第20病日にICUを退室し離床リハビリを開始したが、Medical Research Council (MRC)スコア上12点の顕著な四肢筋力低下を認めたため、作業療法や神経筋電気刺激法等を併せ、集中的な介入を実施した。第38病日より機能訓練に加えて監視型運動療法を開始し、リハビリ目的に他院へ転院となった第49病日の時点でMRCスコアは48点まで改善。階段昇降以外のADLは自立レベルで可能になった。第134病日での心肺運動負荷試験(CPX)では、AT VO2 9.6ml/min/kg、peak VO2 16.1ml/min/kgと運動耐容能の低下が顕著であり、運動耐容能向上目的に外来リハビリを開始。外来リハビリを継続することで、発症後約1年後のCPXではAT VO2 13.4ml/min/kg、peak VO2 17.2ml/min/kgまで著明に改善した。
【結論】 ICU-AW発症後は長期的なADL、運動耐容能の低下が報告されているが、本症例では入院期の集中的なリハビリに加えて、外来リハビリの継続により運動耐容能が改善した。
【症例】69歳女性。劇症型心筋炎に伴う心原性ショックに対して大動脈バルーンパンピング(IABP)と体外式膜型人工肺(VA-ECMO)による補助循環管理をICUにて開始。ICU入室後第2病日に、心エコー上左室駆出率が10%まで低下したため、central V-A ECMOに移行し気管内挿管人工呼吸管理となった。第3病日より身体拘縮及び呼吸器合併症の予防目的に理学療法を開始。第12病日にECMO離脱、第13病日にIABP離脱となった。補助循環離脱後に敗血症性ショックに移行した為、強心薬の持続投与並びに持続血液透析(CHDF)による集学的治療を引き続き継続した。第18病日にCHDFを離脱し、第19病日に人工呼吸器から離脱した。第20病日にICUを退室し離床リハビリを開始したが、Medical Research Council (MRC)スコア上12点の顕著な四肢筋力低下を認めたため、作業療法や神経筋電気刺激法等を併せ、集中的な介入を実施した。第38病日より機能訓練に加えて監視型運動療法を開始し、リハビリ目的に他院へ転院となった第49病日の時点でMRCスコアは48点まで改善。階段昇降以外のADLは自立レベルで可能になった。第134病日での心肺運動負荷試験(CPX)では、AT VO2 9.6ml/min/kg、peak VO2 16.1ml/min/kgと運動耐容能の低下が顕著であり、運動耐容能向上目的に外来リハビリを開始。外来リハビリを継続することで、発症後約1年後のCPXではAT VO2 13.4ml/min/kg、peak VO2 17.2ml/min/kgまで著明に改善した。
【結論】 ICU-AW発症後は長期的なADL、運動耐容能の低下が報告されているが、本症例では入院期の集中的なリハビリに加えて、外来リハビリの継続により運動耐容能が改善した。