[P76-6] 心停止となった神経性やせ症に蛋白同化ホルモンを用いた集学的治療を行った一例
症例:54歳女性。主訴:意識障害。現病歴:自宅で意識なく倒れているところを母親に発見された。救急隊接触時、心停止と判断され、胸骨圧迫と人工呼吸を実施した。ドクターヘリスタッフ接触時、深昏睡状態であり、低血糖であったため、輸液路確保後ブトウ糖投与がなされ、当院へ搬送された。既往歴:神経性やせ症。経過:来院時の所見から神経性やせ症、蘇生後脳症、クワシコル、タコツボ心筋症と判断した。強制的に栄養状態を改善するため、中心静脈輸液路確保と胃管挿入を行った。K, Mg 製剤を含む輸液、経管栄養を行った。また、胃管から蛋白同化ホルモンの投与を併用した。翌日には覚醒したためが、ほとんど摂食しなかった。その後、肺水腫、肺炎を合併し、呼吸状態が悪化したため、APRV を経て気管挿管、人工呼吸器管理、気管切開を施行した。集中治療後、食事も自ら全量摂取することが可能となり、体重も上昇したため、蛋白同化ホルモンと漸減中止とした。筋力アップと精神的なサポートを行うため、第91病日に転院となり、その後、後遺症なく社会復帰した。結語:本症例は神経性やせ症で多彩な合併症を併発したが、蛋白同化ホルモンの投与を含めた集学的な治療により社会復帰した。