第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

患者管理

[P79] 一般演題・ポスター79
患者管理04

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場17 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:稲波 享子(京都第一赤十字病院)

[P79-4] 気管挿管患者と看護師とのコミュニケーション手段ごとの患者の特徴

金山 裕美1, 清水 友可里1, 土橋 夕香2, 山田 亨1, 久保 孝1 (1.東邦大学医療センター 大森病院, 2.学校法人 東邦大学 羽田国際線クリニック)

【背景】挿管患者は、発声ができないため、伝えたいことを迅速に伝えることが困難である。このことは挿管患者の抱える苦痛の一つである。挿管患者とのコミュニケーション手段にはいくつかあり、看護師は、挿管患者の状態を評価し、適切だと思われる手段を選択している。しかし、どのようなコミュニケーション手段が、どのような状態の患者に適切なのかを示した報告はない。【目的】挿管患者と看護師とのコミュニケーション手段ごとの患者の特徴を明らかにする。【方法】A病院救命救急センター・特定集中治療室に平成29年10月から翌年1月までに入室し、本人またはその家族から同意の得られた成人の挿管患者を対象とした。また、対象患者を担当する看護師からも同意を得た。非交流型参加観察法を用い1患者あたり5場面程度を観察し、患者の基本属性、コミュニケーションの実際、コミュニケーションに影響する患者の状態に関して、データを抽出した。本研究はA病院倫理委員会の承認を得ている(承認番号:M17156)。【結果】対象者は13名で、入室理由となった疾患は、虚血性心疾患3名、大血管疾患4名、心肺停止蘇生後2名、その他4名だった。全48場面で、筆談19場面、首振りのみ11場面、ジェスチャーまたはジェスチャーと首振り8場面、読唇または読唇と首振り7場面、読唇とジェスチャー2場面、文字盤1場面があった。筆談を用いた場面では、持続鎮静薬使用ありが0%、RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale):0以上の割合が89.5%、巧緻運動障害ありの割合が10.5%、上肢運動障害ありの割合が5.2%であった。首振りのみの場面では、持続鎮静薬は36.4%の場面で使用され、45.5%の場面でRASS:-1以下であった。巧緻運動障害は80%で、上肢運動障害は36.4%でみられた。ジェスチャーを使用した場面では、持続鎮静薬は25%で使用され、RASS:0の割合は75%であった。巧緻運動障害は75%に認められた。読唇では、巧緻運動障害あり・上肢運動障害ありの割合がどちらも28.6%であった。RASS:+1が28.6%でみられた。文字盤を用いた場面には、巧緻運動障害があった。【結論】コミュニケーション手段ごとの患者の特徴には、上肢運動機能、上肢巧緻機能、RASSがあると推測された。