第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

患者管理

[P79] 一般演題・ポスター79
患者管理04

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場17 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:稲波 享子(京都第一赤十字病院)

[P79-3] 身体拘束廃止への取り組み~その人らしさを支える看護をめざして~

眞鍋 聡子, 平井 綾子, 八田 桜子, 田原 真理, 内田 康太, 持田 雅実子, 藤井 駿, 南 ゆかり, 谷本 玲子 (鳥取大学医学部附属病院)

【目的】ICUに入室する患者は外傷や手術などによる侵襲が大きく、身体的・精神的に不安定で変化が大きい。そのため、意識レベルの変化や鎮静薬の使用によって患者の行動の予測がつかない状態で、生命維持のために必要不可欠な医療機器を使用している場合など、やむをえず身体拘束をおこなうことも多い現状がある。しかしながら、多くの看護師は同時に倫理的なジレンマを抱えながら抑制を実施している。私たちは、患者一人一人のその人らしさを支える看護をめざし、不必要な身体拘束や予防的な身体拘束を最小限とするため、身体拘束廃止を目標とした取り組みを開始したので報告する。【方法】認知症ケア加算の導入に関連して、疾患の理解を深めるために病棟内の全看護師を対象に認知症サポーター研修に参加した。「身体拘束廃止を進めるための18のチェックポイント」をもとに、身体拘束廃止を進めるチームを結成。看護師の身体拘束に対する意識を変えるため、『ICUにおける身体拘束(抑制)ガイドライン』をもとに身体拘束の三原則である切迫性・非代替性・一時性を周知できるよう事例検討を行った。また、看護師の努力を評価できるよう「抑制フリーチャレンジの木」を作成し、短時間でも業務内に拘束帯を外す介入ができた時にシールを貼付した。【結果】看護師の意識改革のために、認知症サポーター養成講座を企画・運営・後援者との連携をはかり、当病棟看護師58名が認知症サポーターを取得した。また、事例検討から、新たな代替の発案や、拘束帯を外して看護師がせん妄予防ケアなどの患者との関りを行い易くするために、勤務内の複数の看護師で支えあう体制づくりができるようになった。「抑制フリーチャレンジの木」は、看護師の達成感につながるとともに、家族に対しても、身体拘束廃止の必要性と看護師の取り組みを説明できる機会として役立った。当病棟の平成29年度抑制帯使用率は23%であったが、今年度は平均5.8%に減少した。今後は、インシデント件数の推移や報告の中で、看護が変わったと「見える化」に取り組んでいく。