第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

患者管理

[P79] 一般演題・ポスター79
患者管理04

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場17 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:稲波 享子(京都第一赤十字病院)

[P79-6] A病院ICUにおけるPNSの導入効果と課題

大前 慎司 (社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院)

【背景】2009年に福井大学付属病院でパートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)が開発され、A病院ICUでも導入されたがPNSを開始してから「教育の速度が落ちた」「状況判断能力がつきにくい」といった意見があった。ICUでの患者は生命の危機的状況にありICUに勤務する看護師は、迅速かつ的確な状況判断が求められる。その中、新卒看護師がICUに配属され、病棟の教育体制も難しくなっている。実際にICUにおけるPNSの導入効果と課題を検討できれば、ICUでのより効果的な看護システムの検討の一助となると考え研究に取り組んだ。【目的】A病院ICUのPNSの導入効果と課題を明らかにする。【方法】調査期間は2018年8月1日~8月31日。対象はA病院ICUスタッフ35名。先行研究をもとにアンケートを作成し、調査項目ごとに単純集計を行った。「今後もPNSを継続していきたか」という問いを継続群と非継続群にわけ、基本属性と比較した。PNSの導入効果と課題について、リーダー業務をしている群としていない群、PNS導入前の看護方式を経験している群とそうでない群、PNSを継続していきたい群とそうでない群に分けてそれぞれをX2検定で比較し優位水準は5%未満とした。検定には統計ソフトSPSS 15.0J for Windowsを用いた。【結果】対象35名のうち回答は27名(回収率77.1%)で無効回答は無かった。PNSを継続したい群はそうでない群に比べて経験年数の若いスタッフであった。全体でPNS導入効果があったと回答のあった上位項目は「患者情報の共有や確認行動の増加」「適切なフィジカルアセスメントの実施」であった。課題では「看護師の力量の差にストレスを感じる」「パートナーに気を遣う」であった。PNSを継続していきたい群とそうでない群の比較では、導入効果において「重症患者に苦痛を与えないケア提供」「適切なフィジカルアセスメントの実施」「治療・検査等の質問に迅速対応」など23項目中12項目で統計学的有意差を認めた。また同2群の比較で課題においては「看護師の力量の差にストレスを感じる」「担当患者が倍増した負担感」「新人看護師の教育の困難さ」等の13項目中6項目において有意差を認めた。【結論】若いスタッフはサポートがあることにメリットを感じているが、教育する側のスタッフは負担に感じており若いスタッフに自立(自律)を求めている。PNSのマインドから得られたものを残しながら新たな病棟のシステムを見直す必要があると言える。