第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

検査法・モニタリング

[P81] 一般演題・ポスター81
検査法・モニタリング02

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場19 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:加藤 啓一(日本赤十字社医療センター麻酔科)

[P81-3] 当院における非中心循環系血管内カテーテル使用患者の現状

和田 穣1, 二階 哲朗1, 庄野 敦子1, 三原 亨1, 太田 淳一1, 齊藤 洋司2 (1.島根大学医学部付属病院 集中治療部, 2.島根大学医学部麻酔科学講座)

背景:重症の呼吸・循環不全患者において、適切な体液管理が予後の改善につながる。非中心循環系血管内カテーテル(PiCCO)は心拍出量、肺血管内外水分量が測定でき、体液管理において期待できるモニタリングである。当院での使用は、各集中治療医の判断に任されているのが現状である。本研究はPiCCOの当院における使用状況を、後ろ向きに調査することを目的とする。研究デザイン:単施設後方視的観察研究方法:2017年4月から2018年3月の間、当院集中治療室に入室し、PiCCOカテーテルを留置した全患者を対象とした。患者背景、転帰(ICU予後、院内死亡)、ICU入室期間、疾患名、APACHE、SOFA、腎代替療法の有無、人工呼吸療法の有無、人工呼吸期間、P/F ratio、最大のPEEP、カテコラミンインデックス(CAI)、in-out balance、PiCCOの各種パラメーター(心拍出量、GEDVI, 肺血管外水分量EVLW、肺血管透過性指数PVPI)に関してデータ収集を行った。本モニタリングに関与する合併症(出血・カテーテル感染)や使用期間を調査した。また、PiCCOのパラメーターに関してはデータ欠損患者を除外し、ICU生存群と死亡群に分け、PiCCOのパラメーターが予後に影響を与えるか検討した。データは平均±標準偏差にて示す。結果:対象患者は33名(年齢67±13歳、男性27名女性6名)、PiCCO挿入理由となった病態は、循環不全13名、呼吸不全7名、心不全8名、敗血症16名、その他5名であった。ICU死亡は10例、院内死亡は19例であった。、APAPCHE 24±8、SOFA 10±4、腎代替療法施行18名、侵襲的人工呼吸管理施行患者23名であり、人工呼吸管理中の最大PEEP は10±4cmH2O、CAI 14±13、初日のin-out balanceは3400±2300mlと重症の循環・呼吸不全患者にPiCCOによる管理が施行された。病態別でのPiCCO挿入3日間のEVLWI減少率、PVPI減少率と侵襲的人工呼吸期間、ICU入室期間に相関関係は認められなかった。EVLWI, PVPI,GEDVIいずれも死亡患者と生存患者で有意差は認められなかった。人工呼吸管理期間とEVLWI最大値、PVPI最大値ともに相関関係は認められなかったが、集中治療入室期間が長くなる傾向を認めた。合併症として、1例で前腕の血流障害を認めた。結語:PiCCOカテーテルは大量のカテコラミンが必要な患者、心機能低下患者や呼吸不全の状態で敗血症を合併した患者に使用されていた。本モニタリングに特化した合併症は認めなかったが、直接的な予後への影響を認めなかった。