[P86-1] 急性骨髄性白血病患者の呼吸不全に対して長期のNHFで管理した一症例
【背景】抗癌剤治療の副作用として肺炎などの呼吸器障害があるが白血病などの血液悪性腫瘍疾患で使われる抗癌剤は血液細胞をターゲットにするため、骨髄がより強力に抑制されやすい。そのため白血球減少による肺炎も重篤になりやすく、その呼吸管理に難渋することがある。今回、呼吸サポートチーム(RST)が急性骨髄性白血病患者の出血傾向のある重症肺炎に対して侵襲的気管挿管を回避して7か月の長期にわたるネーザルハイフロー(NHF)で管理した症例を経験したので報告する。【臨床経過】患者は48歳男性。身長166.9cm、体重65.2kg。既往歴は2016年8月狭心症の診断でPCI歴あり。2015年9月中旬、食欲不振を主訴に近医受診。白血病疑いで当院紹介入院となった。骨髄検査結果から急性骨髄性白血病(AML-M1)と診断され2016年3月まで化学療法を行い寛解となったが呼吸器症状はなかった。2017年9月38度台の発熱症状があり再発と診断され再び化学療法が開始された。開始3日目頃より呼吸苦を訴え頻回の咳嗽と血痰の喀出が持続し、また経鼻投与(5L)でSPO290%と酸素化が保たれなくなったのでRSTが呼吸管理を行うこととなった。CTでは肺野全体に多発するair bronchogramを伴う結節影と区域性のスリガラス陰影を認め、聴診ではcoarse crackleが聴取された。血液検査ではWBC270/μl、PLT2500/μlであった。化学療法は重症肺炎の合併に伴い中止され、抗菌治療が継続された。気管挿管などの侵襲的な呼吸管理は出血のリスクも考慮し主治医、本人も希望されず、非侵襲的陽圧換気(NPPV)かNHFを行うこととなったが咳嗽と血痰喀出が続いていることよりNPPVよりも出来るだけ加湿のできるNHFで管理する方針とした。仰臥位になると呼吸苦が出るため数か月座位のままNHFを装着し7か月後に軽快退院となった。【まとめ】急性骨髄性白血病患者の出血傾向のある重症肺炎に対して侵襲的気管挿管を回避して7か月の長期にわたる NHFで管理した症例を経験した