[P86-2] 鎮静下のNPPVにより上気道狭窄の発見が遅れた一症例
【背景】NPPVは、周術期の呼吸器合併症予防・治療に有用と考えられるが、心臓手術術後に、鎮静下に行ったNPPVにより上気道狭窄の発見が遅れた症例を経験したので報告する。
【臨床経過】50歳代の男性、身長174cm、体重70kg、喫煙歴があった。急性大動脈解離に対し緊急で大動脈弓部全置換術を行った。麻酔は、セボフルラン、フェンタニル、レミフェンタニルで行い、筋弛緩薬投与後に気管挿管を行った。手術終了後、挿管のままICU入室とした。呼吸循環ともに安定していたためICU入室後6時間で抜管した。抜管直後は酸素化良好であったが、翌日、酸素化が悪化し経鼻高流量療法 (nasal high flow therapy ; NHFT)を開始した。喀痰排出障害と無気肺が原因と思われる酸素化障害が進行し、NHFTからNPPVに変更したが改善せず術後3日目に再挿管となった。再挿管後は酸素化が改善し、術後5日目に抜管しNHFTを開始した。抜管前のカフリークテストは陰性であり、抜管直後は、嗄声はあったが喘鳴も聴取せず、血液ガス分析ではCO2の貯留は認めなかった。抜管1時間後に不穏が出現しハロペリドールを投与した。2時間後には、体動が激しくなり、デクスメトミジンとプロポフォールでRASS-1程度に鎮静しNPPVを開始した。NPPV使用後は、不穏状態ではなくなった。NPPVを外した際、吸気時に吸気補助筋の使用と鎖骨上窩の陥没が観察された。上気道狭窄を疑い内視鏡検査を行うと、喉頭浮腫は無かったが、左声帯は傍正中固定、右声帯は動きが低下していたため、2回目の再挿管となった。術後12日目に気管切開を行った。その後、人工呼吸器からの離脱を試みたが、EDAC(Excessive dynamic airway collapse)が発生したため、離脱には時間を要し術後23日目に離脱できた。
【結論】NPPVは不穏状態や上気道狭窄では相対的禁忌とされる。一方で、有用との報告もあり、NPPVの適応は議論が分かれる。本症例の上気道狭窄の主原因は声帯麻痺であり、2回目の抜管後に行った鎮静下のNPPVでは換気が維持できていたが、NPPV離脱まで時間を要すると思われ挿管管理とした。今回は、鎮静下のNPPVで換気が維持されたため、上気道狭窄の発見が遅れた。呼吸のフィジカルアセスメントは、常に重要である。
【臨床経過】50歳代の男性、身長174cm、体重70kg、喫煙歴があった。急性大動脈解離に対し緊急で大動脈弓部全置換術を行った。麻酔は、セボフルラン、フェンタニル、レミフェンタニルで行い、筋弛緩薬投与後に気管挿管を行った。手術終了後、挿管のままICU入室とした。呼吸循環ともに安定していたためICU入室後6時間で抜管した。抜管直後は酸素化良好であったが、翌日、酸素化が悪化し経鼻高流量療法 (nasal high flow therapy ; NHFT)を開始した。喀痰排出障害と無気肺が原因と思われる酸素化障害が進行し、NHFTからNPPVに変更したが改善せず術後3日目に再挿管となった。再挿管後は酸素化が改善し、術後5日目に抜管しNHFTを開始した。抜管前のカフリークテストは陰性であり、抜管直後は、嗄声はあったが喘鳴も聴取せず、血液ガス分析ではCO2の貯留は認めなかった。抜管1時間後に不穏が出現しハロペリドールを投与した。2時間後には、体動が激しくなり、デクスメトミジンとプロポフォールでRASS-1程度に鎮静しNPPVを開始した。NPPV使用後は、不穏状態ではなくなった。NPPVを外した際、吸気時に吸気補助筋の使用と鎖骨上窩の陥没が観察された。上気道狭窄を疑い内視鏡検査を行うと、喉頭浮腫は無かったが、左声帯は傍正中固定、右声帯は動きが低下していたため、2回目の再挿管となった。術後12日目に気管切開を行った。その後、人工呼吸器からの離脱を試みたが、EDAC(Excessive dynamic airway collapse)が発生したため、離脱には時間を要し術後23日目に離脱できた。
【結論】NPPVは不穏状態や上気道狭窄では相対的禁忌とされる。一方で、有用との報告もあり、NPPVの適応は議論が分かれる。本症例の上気道狭窄の主原因は声帯麻痺であり、2回目の抜管後に行った鎮静下のNPPVでは換気が維持できていたが、NPPV離脱まで時間を要すると思われ挿管管理とした。今回は、鎮静下のNPPVで換気が維持されたため、上気道狭窄の発見が遅れた。呼吸のフィジカルアセスメントは、常に重要である。