第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P88] 一般演題・ポスター88
チーム医療05

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:50 ポスター会場6 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:村中 烈子(医療法人徳洲会八尾徳洲会総合病院ICU)

[P88-1] 当院集中治療室における開心術後患者の転帰に関する実態調査

高橋 眞紀, 神林 知子, 飛岡 和樹, 鈴木 貴広, 横山 健 (医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院)

【背景】近年、ICUで治療を行った患者の多くが、退院後の生活で身体・認知・精神機能障害である集中治療後症候群(以下、PICS)を生じているといわれている。開心術後の患者は人工呼吸器管理、鎮静剤の使用、ドレーンやルート類挿入による不動化などPICSのリスク因子を多く抱えている。しかし、開心術後の患者がICU退室後にどのような転帰をたどっているのかは明らかになっていない。
【目的】PICSの視点から開心術後患者の転帰を明らかにする。
【方法】研究デザインは診療録による後方的観察研究とした。対象は2017年4月~2018年3月に開心術を施行し、術後ICUに入室した18歳以上の患者129名とした。そのうち、入院中の患者および死亡患者を除く119名(平均年齢69.6±12.1歳)を分析対象とした。調査項目は、年齢、性別、ICU滞在日数、在院日数、挿管管理時間、転院先、入院前の生活の場、入院時・術直後・退院時の機能的自立度評価表(以下、FIM)の点数とした。分析は、対象を2群(自宅退院群87名vs転院群32名)に分けt検定、x2検定を行った(p<.05)。なお、本研究は当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】入院前は全員が自宅で生活していた。当院退院後の転帰は、自宅退院87名、転院32名であった。2群間で有意差を認めたのはICU在室期間(p=.013、自宅退院群4.7±1.4日vs転院群6.8±4.5日)、入院時FIM(p=.007)、退院時FIM(p<.001)であった。術直後のFIMは両群で有意差は認められなかった。
FIM合計点の平均は自宅退院群で入院時103.9±24.2点(運動FIM70.3±22.2点、認知FIM33.6±4.1点)、退院時120.4±4.3点(運動FIM85.8±3.5点、認知FIM34.6±1.6点)で退院時FIMが有意に高かった(p<.001)。転院群では入院時83.3±38.6点(運動FIM54.2±30.2点、認知FIM29.1±9.9点)、退院時102.0±23.0点(運動FIM71.4±18.5点、認知FIM30.7±6.9点)であり、退院時FIMが有意に高かった(p=.013)。両群ともに、認知FIMの変動は少なく、FIM得点の変動は運動FIMに影響されていた。
【結論】入院前は全員が自宅で生活しており、3割が転院していた。転院群では入院時、退院時のFIMが低かった。術前からのADL向上に向けた介入、さらに術後早期からのPICS予防の介入が重要であり、他職種が協働していく必要性が示唆された。