第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P9] 一般演題・ポスター9
感染・敗血症 症例03

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場9 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:遠藤 裕(新潟大学医歯学総合病院高度救命救急センター・集中治療部)

[P9-7] 劇症型G群溶血性連鎖球菌感染症に対して広範囲のデブリードマンを含めた集学的治療を行い救命し得た一例

田所 司, 立岩 浩規, 勝又 祥文, 矢田部 智昭, 横山 正尚 (高知大学 医学部 麻酔科学・集中治療医学講座)

【背景】劇症型溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染症は、発熱、四肢の疼痛、腫脹などの初期症状から、急速に進行し、軟部組織壊死、播種性血管内凝固、急性腎不全などを引き起こし、死亡率は約30%と報告されている。A群溶連菌が最も多いが、基礎疾患を有する高齢者でのG群溶連菌感染が増加傾向にある。今回、劇症型G群溶連菌感染症に対して、広範囲のデブリートマンを含めた集学的治療を行い救命し得た一例を経験したので報告する。【臨床経過】57歳の女性。子宮頚癌の既往があったが、放射線化学療法により寛解していた。前夜からの発熱および両大腿の発赤、疼痛を主訴に当院へ救急搬送となった。蜂窩織炎による敗血症と判断しICUに入室させた。ICU入室後、急激に血圧が低下し、初期輸液、昇圧薬投与、メロペネムとバンコマイシンによる抗菌薬治療、人工呼吸管理、持続腎代替療法を開始した。入室10時間でショックを離脱した。第2病日に入院時の血液培養からStreptococcus dysgalactiaeが検出され、抗菌薬をペニシリンGとクリンダマイシンに変更した。皮膚症状は一旦改善したが、第3病日に左膝周囲に水疱を伴う紅斑が出現したため、壊死性筋膜炎を疑い皮膚切開を施行した。脂肪組織や筋膜の明らかな壊死を認めなかったので、開創のまま洗浄ドレナージを継続した。全身状態の改善を認め、第5病日に抜管、第6病日にICUを退室した。しかし、第7病日に左膝周囲の紅斑増悪、右膝周囲にも水疱形成を認めたため、緊急デブリードマンを施行し、両大腿、両膝関節周囲、左鼠径部の皮膚・軟部組織を筋膜上で切除した。第8病日には紅斑が両下腿にも拡大したため、追加で両下腿、右鼠径部の皮膚・軟部組織を切除した。その後、洗浄および包交管理を行いながら、計5回の分層植皮を行い、第62病日にICUを退室した。第223病日に歩行可能まで回復し,自宅退院となった。【結論】2度のデブリードマンを行い救命できた劇症型G群溶連菌感染症の一例を経験した。本疾患は進行が早く、死亡率も高いため、集中治療による全身管理、適切な抗菌薬投与、速やかなデブリードマンを含めた集学的治療が不可欠である。