第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 症例

[P90] 一般演題・ポスター90
リハビリテーション 症例03

Sun. Mar 3, 2019 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場8 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:太田 浩平(広島大学大学院 救急集中治療医学)

[P90-4] 肺高血圧症を合併した間質性肺炎患者に急性期から低負荷の運動を実施し歩行を獲得した1症例

浅野 美代子1, 吉澤 剛幸1, 松元 秀次2 (1.日本医科大学付属病院 リハビリテーション科, 2.日本医科大学大学院 医学研究科 リハビリテーション学分野)

【背景】間質性肺炎や肺高血圧症に対するリハビリテーションの効果は認められているが、6分間歩行やエルゴメーターを使用できる軽症例を対象としたものが多く、急性期の重症例を対象とした報告はほとんどない。呼吸器管理中の急性期よりポータブルエルゴメーター(以下、エルゴ)にて低負荷の運動を実施し、ベッド上安静から監視での歩行が可能になった症例を経験したため報告する。【臨床経過】30代前半、女性。1年前からの呼吸困難で発症し、3か月前から咳嗽が著明になり、severe TR、右室拡大、肺高血圧あり(安静時平均肺動脈圧48.0mmHg)、レントゲン上の肺野の間質性変化が強く、当院救命救急センターに搬送された。NPPVを装着し、入院14日からリハビリテーションを介入した。関節可動域は制限なく、MMT 3レベル、Barthel index(以下、BI) 20であった。安静時SpO2 90~94%だが、下肢運動でSpO2が容易に80%台に低下し、端坐位でSpO2 70%台になる状態であった。運動によるSpO2低下が著明で、端坐位練習による負荷で右心不全増悪の可能性があると考え、ベッド周囲の環境設定、リラクセーション、医師の指示によりSpO2 86%以上でベッド上にて筋力強化を継続した。介入4日より運動機能低下予防、1回換気量の増加を図るため、ベッド上にてエルゴを導入した。エルゴ導入当初はペダリングを介助し、40回転前後で1分実施可能なレベルであったが、介入11日で5分実施可能になった。エルゴ実施中の1回換気量は毎回約100 ml増加した。介入15日より端坐位練習を開始し、SpO2の低下が見られず、20分実施可能だった。介入16日より車椅子乗車、介入18日より歩行器立位練習を行った。介入22日よりNPPVからネーザルハイフローに変更し、介入30日よりリザーバマスクに変更になり、一般病棟へ転出した。その後はエルゴを終了し、ゴムチューブや徒手による抵抗運動にて筋力強化や動作指導を実施した。そして、MMT 4レベル、監視での歩行が100m可能になり、BI 70まで改善した。肺高血圧は軽快し(安静時平均肺動脈圧35.3mmHg)、介入47日後に回復期リハビリテーション病院へ転院となった。【結論】急性期の間質性肺炎や肺高血圧症の重症例において、低負荷でのリハビリテーションを実施することで病態を悪化させることなく1回換気量増加を図ることができた。そして、SpO2低下を防止し、運動機能を改善することができ、ADL向上に繋がったと考える。