[P93-2] 人工呼吸患者の安全管理人工呼吸器関連インシデント報告分析と気管チューブの計画外抜管症例の検討
【目的】人工呼吸器関連のインシデント報告分析並びに気管チューブの計画外抜管症例の特徴を明確にして、人工呼吸器装着患者の安全管理について検討する。 【方法】1.人工呼吸器関連のインシデント報告分析 2013年4月から2017年3月まで5年間の人工呼吸関連のインシデント報告(計画外抜管例は除く)について分析した。2.計画外抜管症例の特徴 2010年4月から2017年3月まで7年間の気管チューブの計画外抜管症例について、患者背景、APACHEII、発生時期、人工呼吸器条件、RASS、鎮痛・鎮静の状況、予後、発生時間帯などについて分析した。また、提出されたインシデント報告について要因、対策面から検討した。【結果】1.人工呼吸器関連は46件認め、人工呼吸器自体の問題は10件、取り扱いに関わるものは16件、確認不足などヒューマンエラーによるものは20件であった。2.対象期間中に発生した計画外抜管症例は37例(男性:女性=31:6、年齢51.4±20.6歳)、発生率は2.0%(37/1849例)であった。発生時期は4.2±3.3日目、PEEP圧は7.7±2.6cmH20、P/F比は293±99、RASSは平均-2、再挿管は18例に施行され(再挿管率48.6%)、気管切開となったのは15例(40.5%)、院内死亡は2例(院内死亡率6.7%)、21例は人工呼吸器離脱中に発生していた。インシデント報告は全ての看護師からなされていたが医師からは19例(提出率51.3%)であった。要因について看護師・医師ともに観察、判断、確認の順で観察の重要性を指摘していたが、対策について看護師は鎮静30%、抑制24%、情報共有21%、連携14%としており、医師は鎮静41%、観察22%、抑制18%、情報共有19%で相違を認めた。 【結論】人工呼吸器装着中の患者に関してはRSTによる定期ラウンド等を行っているが現場でのインシデント発生防止には限界がある。安全な人工呼吸管理のためには、稼働状況をサーベイランスしつつ、医療者間の共通認識が重要である。