第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

血液浄化

[P96] 一般演題・ポスター96
血液浄化01

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:40 ポスター会場14 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:井上 義博(岩手医科大学医学部救急・災害・総合医学救急医学分野)

[P96-1] 片肺全摘術後の間質性肺炎急性増悪に対しPMXエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)が著効した一症例

今川 憲太郎, 松波 小百合, 氏野 直美, 出口 志保, 下山 雄一郎, 門野 紀子, 日外 知行, 梅垣 修 (大阪医科大学病院 集中治療部)

間質性肺炎を合併した肺癌手術は少なくなく、術後の間質性肺炎の急性増悪に対する治療は難渋する。今回我々は片肺全摘術後に間質性肺炎の急性増悪に対しPMXエンドトキシン吸着療法が著効した症例を経験したので報告する。症例は、56歳男性。左肺主気管支に直腸がんの転移性肺腫瘍を認めたため左肺全摘術が施行された。術直後、集中治療室に入室したが、特に問題なく経過していたため、手術2日後集中治療室を退室した。手術11日後からPaO2/FiO2比が180と呼吸状態が悪化し、血液検査で白血球数13230個/μL、CRP14.73mg/dLと高値であり、胸部CTにおいても残肺に広範囲にびまん性スリガラス陰影を呈する肺炎像を認めたため、集中治療室に入室した。炎症反応は高いが細菌培養検査で何も検出されなかったため、間質性肺炎の急性増悪と考えステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン100mg/日、3日間投与)を開始した。投与後、血液検査は軽度の改善は認めたが左方移動は改善を認めなかったため、PMXエンドトキシン吸着療法(24時間継続)を開始した。翌日の血液検査で白血球数、CRPが改善し、PaO2/FiO2比は300まで改善したのでPMXエンドトキシン吸着療法は終了した。また、胸部CTで肺炎像の縮小を認めた。ステロイドパルス療法後、ステロイド投与量は徐々に減量していったが血液検査で炎症反応の悪化や、肺炎の再燃を認めることなく経過し、手術18日後に集中治療室を退室した。間質性肺炎の急性増悪は死亡率が高く、治療に難渋する。治療法はステロイド、免疫抑制剤の投与等が挙げられる。本症例ではステロイドの効果が不十分で、PMXエンドトキシン吸着療法を開始して呼吸状態が著しく改善した。間質性肺炎の急性増悪に対しPMXエンドトキシン吸着療法は有効な治療法と考える。