[P99-5] 無気肺を呈した先天性心疾患児に対する気道陽圧システム(EzPAP)の使用経験-高濃度酸素投与例への適応―
【背景】EzPAPは簡便な持続的気道内陽圧システムで、接続した医療ガスの4倍の吸気流量が得られる構造となっている。肺内パーカッション換気や機械的陽圧陰圧療法に比べて低侵襲のため、乳幼児の無気肺改善を目的とした呼吸理学療法器具としても使用しやすい。しかし、酸素療法を必要とする症例では、EzPAPの仕組み上、口元の吸入酸素濃度(FiO2)が低下しやすく適応が難しい症例を経験することがある。今回、高濃度酸素を投与されている先天性心疾患手術後症例の無気肺の改善を目的にEzPAPを使用することができたので報告する。【臨床経過】症例は、2歳1カ月、身長77センチ、体重7.5kgの女児。総動脈幹症にて8ヵ月の時にRastelli手術ならびに総動脈幹弁形成術を施行、今回は総動脈幹弁置換ならびに左室流出路狭窄改善目的にて手術を施行した。手術後(POD)3日目に抜管してネーザルハイフロー管理(FiO2 0.6、流量12L/min)となったが、抜管後の胸部レントゲン写真にて右上葉無気肺が出現したため呼吸理学療法開始となる。体位ドレナージと呼気介助にて排痰および無気肺改善を試みるも改善しないため、POD4にEzPAPを導入することにした。EzPAP導入にあたっては、実施中の酸素化の低下が予測されたため、空気流入口よりバッグバルブマスクを使って高濃度酸素を流す方法を考案し、口元のFiO2を維持できるようにした。EzPAP実施にはフェイスマスクを使用し、口元FiO2が0.6以上かつマノメータでの呼気終末陽圧が10cmH2O程度かかるように酸素流量を調整、1分間×3~5回を1セットとし、1日1~2セット実施した。EzPAP実施中の循環動態の変動はなく、POD8で無気肺の改善が得られた。【結論】EzPAPの仕組み上、医療ガス接続口から純酸素を接続しても口元のFiO2は0.4程度であり、適応患者が制限されていた。今回、空気流入口より高濃度酸素を流すことで口元FiO2を0.4以上に調整することができ、高濃度酸素を投与されている症例にもEzPAPが適応できる可能性が示唆された。