第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD10] パネルディスカッション10
遠隔医療 Tele-ICUの可能性

2019年3月2日(土) 08:45 〜 10:15 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:大嶽 浩司(昭和大学医学部麻酔科学講座), 讃井 將満(自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・集中治療部)

[PD10-2] 遠隔ICUにおける機器連携について -スマート治療室の展開

正宗 賢, 堀瀬 友貴, 楠田 佳緒, 岡本 淳, 小林 英津子, 伊関 洋, 村垣 善浩 (東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 先端工学外科学)

ライブ配信】

我々は、手術室内の様々な医療機器をネットワークに繋ぎ、機器から出るデータを一元的に標準化・集約化して利活用する「スマート治療室SCOT(R)」の研究開発を推進している。手術室内に設置されたMRI画像装置、生体情報モニタ、フローサイトメトリー、手術ナビゲーション、MEP/SEPモニタ、ポンプ、電気メス、顕微鏡画像、術野カメラ等から得られる多種の情報を、機器の種別毎に標準化し、ミドルウェアを介して情報サーバーに蓄積していく。またそれと同時に、蓄積されたデータを取りだして、多元的な情報を表示する手術戦略コックピットや、手術工程解析アプリケーションなど、従来にはないアプリケーションの開発を進めている。それぞれの機器から出力されるデータはタイムスタンプ付きで蓄積されるため、時間軸が揃ったデータとして解析や学習を行うことが出来る。ICUにおいては、生体情報モニタのみならず、BISやSpO2、人工呼吸器等、患者の状況に応じて様々な機器が混在し稼働している。主立ったデータは既にパッケージ化されているが、全てを一元管理することは出来ておらず、また利活用することは出来ない。そこで、SCOTの仕組みを拡張し導入することで、ICU内機器の一元化のみならず、時系列が合ったデータ群による患者状態のよりきめ細やかな把握や、体調変化などを未来予測し通知するアプリケーション開発など、新たな仕組み・ワークフローを実現出来うる。また、任意データを遠隔地にて共有することも可能となる。ただし、遠隔地などへの転送においては情報の保護、セキュリティ対策および通信速度確保・質の保証など、使用環境に応じた対応を十分吟味する必要があり、また、臨床情報の取り扱いについては社会的な面の課題を考慮する必要がある。本発表では、以上を踏まえたスマート治療室の取り組みの実際とICUへの展開について述べる。