第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

パネルディスカッション

[PD10] パネルディスカッション10
遠隔医療 Tele-ICUの可能性

Sat. Mar 2, 2019 8:45 AM - 10:15 AM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:大嶽 浩司(昭和大学医学部麻酔科学講座), 讃井 將満(自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・集中治療部)

[PD10-4] 集中治療の現状とその解決策としてのtele-ICU

中西 智之1, 別府 賢2, 井手 岳3, 津久田 純平4, 朱 祐珍5, 堤 貴彦6, 藤 雅文7, 森口 真吾8, 西山 慶2 (1.株式会社T-ICU, 2.国立病院機構 京都医療センター 救命救急科, 3.兵庫医科大学 集中治療医学科, 4.聖マリアンナ医科大学 救急医学, 5.京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学分野, 6.京都大学医学部附属病院 初期診療救急科, 7.横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部, 8.滋賀県立総合病院 集中ケア認定看護師)

ライブ配信】

 集中治療医不在の、200床前後の中規模病院での集中治療の現状をご存じでしょうか?不必要な長期にわたる人工呼吸管理、FIO20.8でPEEP5cmH2O、挿管中もヘッドアップなし、経管栄養より高カロリー輸液、RASS:-4の鎮静。これが現状であり、改善すべき状況だと思っています。この現状を何とか出来ないかと模索した結果、tele-ICUに可能性を感じて起業に至りました。私はtele-ICUありきでそれを日本に導入しようと思ったわけではありません。 当初は医療法人の設立を考えましたが、tele-ICUが医療行為ではないということで、株式会社としました(2016年10月設立)。株式会社という形が正解なのか未だに分かりません。 tele-ICUには2つのシステムが最低限必要だと考えました。1つはtele-ICU用の電子カルテ、もう1つは病院の生体情報モニターと電子カルテを閲覧するシステムです。それらを探すところから始めました。 生体情報モニターの遠隔監視システムに関して主要メーカーに確認したところ「初期費用が〇億円」、「自社製品のみ閲覧可能」といった状況で、現実的に使用できる製品はありませんでした。そのため、全メーカーのモニターを閲覧でき、数百万円程度のものを独自開発しました。セキュリティに関しては専門家に依頼し、3省3ガイドラインに沿って問題ないことを確認しています。これらのシステムを病院に設置し、reactive型のtele-ICUを提供しています。T-ICU側は大阪にあるサポートセンターもしくは自宅に、専門医と重症ケア認定看護師が待機して対応しています。 営業活動を通じて病院幹部(医師を含む)の方と話して思ったことは、集中治療医が診療に関わることで、患者のアウトカムや病院経営がどう改善されるかを、あまり理解されていないということです。例えば、状態が安定した患者が2週間以上、人工呼吸管理されているといった状況にもかかわらず、ICUはうまく機能していると認識されています。正しい理解が得られれば、tele-ICUがより早く普及するだろうと感じています。 我々はこのような病院と連携し、ガイドラインに準拠した診療をその病院に適した形で推奨し、患者アウトカムの改善や医師の負担軽減に貢献したいと考えています。 現在は、1つの病院と契約してサービスを提供しています。今後は約800程度ある集中治療医が不在・不足しているICUやHCUの全てに専門医を配置する、もしくはtele-ICUでカバーするべきだと考えています。 そのためには集中治療医の認知度向上、EWSなどを利用したアラートシステムの開発、AIの活用、そして何より診療報酬への反映が必要だと考えています。 最後になりましたが、同じ熱い思いを持った仲間を募集しています。