第46回日本集中治療医学会学術集会

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パネルディスカッション

[PD18] パネルディスカッション18
集中治療領域における栄養と看護

Sun. Mar 3, 2019 2:00 PM - 3:30 PM 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:小谷 穣治(国立大学法人 神戸大学大学院医学系研究科 災害・救急医学), 清水 孝宏(地方独立行政法人那覇市立病院看護部)

[PD18-4] 看護師が主導するENアルゴリズムの有用性

春山 美咲子1, 大島 拓2, 佐藤 由美3, 菅野 はるな1, 鶴岡 祐太3, 柄澤 智史2, 竹内 純子1, 織田 成人2 (1.千葉大学 医学部 附属病院 看護部, 2.千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学, 3.千葉大学医学部附属病院 臨床栄養部)

【背景】重症患者に対する栄養療法は経腸栄養(enteral nutrition; EN)から開始し、overfeeding に配慮しながら徐々に充足させることが推奨されている。当ICUでは入室後48時間以内にENを開始し、開始後72時間で目標投与量の80%以上の投与を目指す栄養療法プロトコルを導入している。ICU内の多職種から構成される栄養チームで効率的な栄養療法の実践を図ってきたが、比較的状態が安定している症例で十分な栄養投与が行われない事例が見られた。そこで最も患者と接する機会が多い看護師が、あらかじめ設定した評価基準に基づき経腸栄養の継続や増量の可否を評価し、栄養投与量の充足プランを提案するENアルゴリズムを2016年10月より導入した。【目的】今回、看護師が主体となって行うENアルゴリズムによる目標栄養量の達成状況や、運用の妥当性ならびに課題について検討した。【方法】2016年10月~2017年9月に当院ICUに入室しENアルゴリズムが適用された成人重症患者を対象とした。ENアルゴリズムでは、医師により対象と判断された症例に対し、看護師が排便量、胃管逆流量、腸蠕動音の有無から患者のEN増量の可否をアセスメントし、充足に向けた投与量調整を医師に提案する。アセスメントには栄養チームが作成した指針を使用し、統一化を図った。ENアルゴリズムによる栄養の充足状況ならびに運用の的確性、ENアルゴリズムに伴う合併症の有無について評価した。【結果】ENアルゴリズムを31症例に適用し、EN開始から72時間での目標栄養投与量の充足率は77%であった。ENアルゴリズムの導入後の期間では、理由なく増量されない症例が27%から0%までに減少した。一方、ENアルゴリズムの規定から外れる運用を7例(23%)で認め、嘔吐が原因で逸脱する事例が4例(13%)確認された。【結論】ENアルゴリズム施行例では概ね目標とする投与量を充足することができ、理由なく増量されない症例が減少していた事から、看護師による積極的な関与がより確実な栄養投与に繋がる可能性が示唆された。アセスメント基準をより明確化し、嘔吐時の対応法や予防策を加えることで、さらに確実な栄養投与が実現できる可能性がある。看護師による積極的な栄養療法への関与により、目標とする栄養療法が確実に実施・継続できるような体制を整える事が望ましいと考えられた。