第46回日本集中治療医学会学術集会

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パネルディスカッション

[PD2] パネルディスカッション2
各領域研修において集中治療は織り込まれているか?

Fri. Mar 1, 2019 9:40 AM - 11:40 AM 第3会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール1)

座長:福井 道彦(音羽病院集中治療部), 松田 兼一(山梨大学医学部救急集中治療医学講座)

[PD2-5] ERで集中治療医を育てる

水 大介, 瀬尾 龍太郎, 柳井 真知, 有吉 孝一 (神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター)

【背景】集中治療専門医は、疾患に関わらず種々の臓器障害を伴った重症患者の評価と管理を行い、そのための知識と技術を有する必要がある。当院はER型救命救急センターであり、年間約35,000例の救急診療を行っている。元来ER診療のみを行ってきたが、2011年に救命センター内に救急科医師が中心に診療を行う救急専用のICU(EICU)を開設し、年間約900例の患者(心血管系患者を除く)がER経由で入室する。そのため救急専門医研修プログラムでは集中治療専門医のもと約10ヶ月から12ヶ月をICU専従研修としている。EICU開設以降、当科の専門医研修プログラムを終了したのは16名。現在も11名が研修中である。【目的】当プログラムではER医として重症度に関わらず多くの患者を診療し、集中治療医として多くの重症患者の入院管理を経験することができ、同時に複数診療科と連携し、チームマネジメント力を磨くことを目標としている。これはER医・集中治療医の双方に欠かせない能力である。当プログラムが集中治療研修にどれほどの役割を担っているかを考え、更なる充実を図る。【方法】2011年から2018年3月に当科専門医研修プログラムを修了した16名に対して、集中治療研修についてアンケートを実施した。【結果】回収率は75%。修了者は全員救急専門医を取得し、そのうち集中治療専門医を取得したのは3名。集中治療医として3ヶ月以上ICUに従事しているのは5名であった。ERであるため症例数が多く幅広い傷病患者を経験することができ、多職種・多診療科と常にshared decision makingができ、チームマネジメントを学べたとする意見が多くあった。一方で、ERでの研修が主であるため集中治療研修期間がやや短い、手術治療や体外補助循環などER型であるため自ら行える手技に制限があるという点を課題としていた。【考察】集中治療専門医プログラムの構築は今後必要であるが、当院のようにER型救急と集中治療を研修できるプログラムは多くない。集中治療専門医として必要な重症患者に対する管理能力、およびチームマネジメント力の育成は十分可能である。今後は重症患者に対する手技の習得や研究活動のさらなる充実を目指すことでより良いプログラムにして行くことが目標である。