[SY1-2] PICS/ICU-AW研究の課題と当院における取り組み
【 同時通訳付き】
【背景】当院ICUでは日々のカンファレンスに医師看護師のみならずリハビリ科、栄養科、ソーシャルワーカーが参加議論し、多職種連携によりPICSを最小限にする努力を行っている。いくつかのPICS研究を行っているがその難しさは評価にあると痛感している。ICU-AWは主に機能を評価するが、重症な患者では直接の筋力や持久力評価は困難であり、筋肉量評価も重要であるが簡便には評価できず、認知機能評価も合わせ実施が難しい。さらに治療前評価の困難や治療後(特に長期予後)の評価を集中治療医がしにくいなどの問題が挙げられる。
【目的】当院のPICS/ICU-AW研究と課題を紹介する。
【方法】先行研究としてCTで筋断面積を積分し体積として測定することで大腿筋肉量を正確かつ3Dで評価でき、2週間の集中治療で20%の減少を示し、ICU-AW評価においてエコーにない利点を有することを示した。現在は同意を取得できた患者を対象にICU入室前(day1)及び10日目(day10)で大腿筋肉量をこの手法で評価し、介入RCTにてICU-AWへの有効性を検討している。これまでに神経筋電気刺激療法EMSの有無と、EMSに加えHMB投与の有無によるRCTを終了したためこれらの結果を示す。抄録時点でタンパク質投与量によるRCTを行っている。一方で認知機能まで含めたPICS研究として看護師、リハビリ科の協力によりBarthel indexに加えEQ-5D及びFSS-ICUスコアを評価し、看護師による鎮静鎮痛薬調整の有無でのhistorical control studyを開始している。
【結果】ICU入室翌日からのEMSの有無で、両群ともday1からday10にかけて有意に筋肉量減少がみられた(p<0.0001)が、大腿筋肉量の減少率はcontrol群17.7±2.6%に対してEMS群で10.4±2.3%であり、7%程度の筋肉量減少抑制効果がみられた(p=0.0436)。intention-to-treat解析で重症度に加え死亡率などのoutcomeに差はみられずEMSが安全に実施できることを示した。一方で両群EMS実施の上でのHMB投与の有無においては、大腿筋肉量減少率に有意差はみられなかったが、SOFA<10のサブグループにおいてHMB群9.1±2.0%、control群14.1±2.1%と有意に減少抑制がみられた(p<0.0477)。
【結論】EMSやHMBのICU-AWにおける筋肉量減少への有効性を示した。PICS研究には機能評価に加え筋肉量、認知機能、長期予後など多岐にわたるoutcomeをそれぞれ評価する必要があり、介入も評価も多職種が連携してはじめて実現されるものと考えている。
【目的】当院のPICS/ICU-AW研究と課題を紹介する。
【方法】先行研究としてCTで筋断面積を積分し体積として測定することで大腿筋肉量を正確かつ3Dで評価でき、2週間の集中治療で20%の減少を示し、ICU-AW評価においてエコーにない利点を有することを示した。現在は同意を取得できた患者を対象にICU入室前(day1)及び10日目(day10)で大腿筋肉量をこの手法で評価し、介入RCTにてICU-AWへの有効性を検討している。これまでに神経筋電気刺激療法EMSの有無と、EMSに加えHMB投与の有無によるRCTを終了したためこれらの結果を示す。抄録時点でタンパク質投与量によるRCTを行っている。一方で認知機能まで含めたPICS研究として看護師、リハビリ科の協力によりBarthel indexに加えEQ-5D及びFSS-ICUスコアを評価し、看護師による鎮静鎮痛薬調整の有無でのhistorical control studyを開始している。
【結果】ICU入室翌日からのEMSの有無で、両群ともday1からday10にかけて有意に筋肉量減少がみられた(p<0.0001)が、大腿筋肉量の減少率はcontrol群17.7±2.6%に対してEMS群で10.4±2.3%であり、7%程度の筋肉量減少抑制効果がみられた(p=0.0436)。intention-to-treat解析で重症度に加え死亡率などのoutcomeに差はみられずEMSが安全に実施できることを示した。一方で両群EMS実施の上でのHMB投与の有無においては、大腿筋肉量減少率に有意差はみられなかったが、SOFA<10のサブグループにおいてHMB群9.1±2.0%、control群14.1±2.1%と有意に減少抑制がみられた(p<0.0477)。
【結論】EMSやHMBのICU-AWにおける筋肉量減少への有効性を示した。PICS研究には機能評価に加え筋肉量、認知機能、長期予後など多岐にわたるoutcomeをそれぞれ評価する必要があり、介入も評価も多職種が連携してはじめて実現されるものと考えている。