第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY14] シンポジウム14
(ICU機能評価委員会企画) 集中治療の質を評価しよう

2019年3月3日(日) 11:20 〜 12:20 第1会場 (国立京都国際会館1F メインホール)

座長:西村 匡司(日本集中治療医学会 理事長/徳島県立中央病院)

[SY14-2] RAND/UCLA適切評価法を用いた集中治療室における診療の質指標開発と既存電子データを用いた測定検証

熊澤 淳史 (堺市立総合医療センター 集中治療科)

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ICUに入室する患者の高齢化に伴い、集中治療室における診療密度と診療コストが増大している。不適切な診療は診療費の増大、患者アウトカムの増悪に直結するため、集中治療室における診療の質の担保が益々重要となっている。医療の質は、Donabedianが提唱した、「構造(structure)、過程(process)、結果(outcome)」の3つの側面から評価されるが、これまで、集中治療室の機能を評価する際には、集中治療室の構造、医療機器の配備やスタッフの配置といった構造(structure)の側面が重視されてきた。しかし、患者アウトカムの改善と結びつけるためには、過程(process)の側面が特に重視される。そこで、ICU機能評価委員会で、集中治療室の診療パフォーマンスを評価するために過程(process)の側面を含めた診療の質指標(Quality Indicator: QI)開発プロジェクトを開始した。 QI開発にはRAND/UCLA適切評価法を用いた。まず、診療の質に関する文献を網羅的に検索し、QI項目の候補となる44項目を抽出した。ICU機能評価委員会委員を中心とした14人の委員からなるパネルを構成し、パネル会議において44項目の評価を行い最終的に35項目が適切であると評価された。 次に、QI測定の実用化に向けて、QI項目が実際に測定可能であるか検証が必要である。臨床現場において負担なく測定可能であることを重視し、DPCなどの既存電子データを用いた測定検証研究を開始している。7施設が参加し、カルテレビューを用いてDPCデータから計算されたQIの妥当性を検証している。 本発表ではQI開発の過程とQI測定検証研究の途中経過を報告する。