[SY21-4] 体外循環式心肺蘇生法を施行した院外心肺停止患者における感染症発生頻度の研究
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【背景】集中治療管理下の患者が免疫能低下状態に陥っているとの報告は散見される。特に心肺停止蘇生後患者は虚血再灌流障害によるsepsis-like syndromeにより炎症性サイトカインが惹起される。そのような免疫不全状態での体温管理療法(targeted temperature management:TTM)は感染症合併の頻度を上昇させることが示唆されている。体外循環式心肺蘇生法(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation:ECPR)による治療は人工物の挿入と皮膚バリアの破綻により、更に感染症のリスクを増大させるが、現在までECPR施行下のTTM患者での感染症の割合や起因菌に関する研究は行われていない。そこで、本研究ではTTMを施行した患者の感染症発生の頻度を明らかにする。【方法】単施設後ろ向き観察研究。聖路加国際病院に2011年4月から2018年6月の期間に院外心肺停止で搬送され、蘇生後に34℃の目標体温でTTMを施行した成人患者を対象とした。主要アウトカムは集中治療室滞在中の肺炎、敗血症、菌血症の発生頻度とし、ECPR施行群と非施行群で基礎背景、感染症発生頻度を比較した。【結果】心肺停止蘇生後に34℃の目標体温でTTMを施行した患者は119名であった。集中治療室入室後48時間以内に死亡した13例を除いた106例のうち、ECPR施行群22例、非施行群84例で比較を行った。ECPR施行群と非施行群で肺炎発生頻度は31.8%(7/22)vs45.2%(38/84) (p=0.25)、敗血症発生頻度は68.1%(15/22)vs23.8%(20/84) (p<0.001)、菌血症発生頻度は27.2%(6/22)vs8.3%(7/22) (p=0.016)であった。【結論】心肺停止蘇生後患者でECPRを施行した患者では有意に敗血症、菌血症の頻度が増加した。