第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY22] シンポジウム22
補助循環の安全管理・最前線

2019年3月3日(日) 08:45 〜 10:45 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:竹田 晋浩(かわぐち心臓呼吸器病院), 八木 克史(京都府立医科大学附属病院 臨床工学技術課)

[SY22-4] ECMOとCRRT 並列接続は安全か?

赤松 伸朗, 桜井 明寛, 井畑 勝也, 馬渕 愛, 西井 貴史, 土居 新宗 (大阪市立総合医療センター 医療技術部 臨床工学部)

ライブ配信】

【背景】近年extracorporeal membrane oxygenation (ECMO)は、多くの施設で成績向上に向けた取組みが行われている。ECMOを施行している際、体液過剰や腎機能が低下する症例を経験し、continuous renal replacement therapy (CRRT) などの血液浄化が必要となることがある。成人ではブラッドアクセスの選択肢は多いが、小児では余儀なくECMO回路をそのアクセスとして使用することがある。しかしその安全性は担保されていない。【目的】小児ECMO回路(ECMO君)のA-V間シャント回路にCRRT回路を組み込み、並列施行した場合の安全性を実験的に検討。【方法】実験はECMO君をリザーバーで再循環、CRRT回路をECMO君シャント回路の上流採血、下流返血で接続。装置条件は、ECMO実効流量300 mL/min、シャント流量650 mL/min、CRRT血液流量50 mL/min。この条件下で事象A ECMO脱血不良、事象B 人工肺の圧上昇、事象C 送血不能を発生させ要所の圧力を測定。CRRTの除水については濾液量とリザーバーの荷重を実測。【結果】各箇所の正常圧力は送血26 mmHg、脱血19 mmHg、人工肺入口183 mmHg、人工肺出口170 mmHg、シャント上流120 mmHg、シャント下流47 mmHg。事象A 脱血不良の発生で脱血圧は -140 mmHg、CRRTも全ての箇所で陰圧還流し実効流量は0 mL/min。事象B 人工肺圧上昇では人工肺圧損は10 mmHgから112 mmHgに、CRRT出入口の圧は大幅に低下し実効流量は180 mL/min。事象C 送血不能では、実効流量0 mL/minとなり送血圧は187 mmHg、脱血圧21 mmHg、人工肺とシャント上下流の圧変化は微小。CRRTで除水した場合の圧力変化は3つの事象とも同程度であったが、脱血不良の際は送血側、送血不能の際は脱血側とそれぞれリザーバーから除水を行っていた。送脱血ともに不能となった場合には人工肺から空気を引き込んだ。【まとめ】異なる体外循環を並列施行した場合に想定される事象の検証を行った。圧力の変化から事象の予測が可能であり、厳密なアラーム設定が並列施行の安全性を向上させると考えられた。しかし、並列施行には個々に体外循環を施行するよりも危険度が増すことを認識した運用が肝要である。