[SY8-1] がん専門病院で導入したMETの短期成果についての報告
【背景】本邦ではがん専門病院で導入したRapid response system（RRS）のアウトカムに関する報告はない。【方法】がん研有明病院では2015年8月に対応要素を集中治療専門医とICU看護師，ICU担当臨床工学技士で構成するMedical emergency team（MET）を導入した。2014年8月から2018年7月に当院で治療を受けた患者を対象としてMET導入前1年間とMET導入後3年間の院内死亡率，予期せぬ心停止，ICU予定外入室を後方視的に検証した。【結果】院内死亡率はMET導入前が2.44%，導入後1年目が2.48%，2年目が2.41%，3年目が2.51%であった。予期せぬ心停止は1,000入院当たりMET導入前が0.53件，導入後1年目が0.39件，2年目が0.27件，3年目が0.16件であった。ICU予定外入室はMET導入前が154件，導入後1年目が172件，2年目が246件，3年目が230件であった。【結論】MET導入の前後で院内死亡率には変化がなかったが，予期せぬ心停止は減少傾向となり，ICU予定外入室は増加傾向となった。がん専門病院でもMETは有用な可能性が示唆されたが長期的な活動成果や多施設研究も交えた検証が必要である。