[61] 歯科用ハンドピース再生処理上の問題点:洗浄効果の判定
【背景と目的】
医療機器の再生処理は添付文書の指示に基づいておこなわれ,洗浄・滅菌の質の担保が必須である.歯科用器械も患者の血液・体液に曝露され,その再生処理は医科と同レベルが求められる.しかし,歯科用ハンドピースについては構造の複雑性にもかかわらず,添付文書上,洗浄法に大きな制限があり汚染の除去に不安を禁じ得ない.今回,歯科用ハンドピースの標準的な洗浄の効果を残留たんぱく質量測定によって評価した.
【方法と結果】
歯科用ハンドピース(エアータービンn=8,コントラアングルn=8)の先端に2%BSA(ウシ血清アルブミン)溶液を注射器で注入させた.その後,1時間,室内に静置,ウォッシャーディスインフェクター(Steelco DS610)でハンドピース用洗浄アダプターを装着し,酵素洗剤(MS-EW)を使用し機械洗浄をおこなった(予備洗浄2分,本洗浄1回目10分30℃,本洗浄2回目10分45℃,乾燥20分).機械洗浄後にハンドピースの先端を抽出液内に入れ,水酸化ナトリウム水溶液(1%SDS含む)下に残留たんぱく質を抽出,液中のたんぱく質量をOPA法で測定した.対照として機械洗浄なしでたんぱく質の抽出をおこなったところ(n=1),抽出液中のたんぱく質量は,2133μgあった.一方,洗浄後のハンドピースについては,エアータービン31.5±4.35μg,コントラアングル51.75±9.53μg(平均±標準誤差)であった.
【考察】
今回の検討における設定条件では,洗浄後の残留たんぱく質は医療現場における滅菌保証のガイドライン2015(日本医療機器学会)が示す200μg以下であった.しかし,1)本法によるハンドピース内部に残留するたんぱく質の抽出が適切であったか?,2)添付文書では酵素洗剤の使用が禁止されているものもあり,その場合の洗浄効果は今回と同等か?など,多くの問題が残る.今後は,ハンドピースの完全分解による洗浄効果の評価,製品ごとの添付文書に従った洗浄法の施行のもとでの評価が必要と考える.
医療機器の再生処理は添付文書の指示に基づいておこなわれ,洗浄・滅菌の質の担保が必須である.歯科用器械も患者の血液・体液に曝露され,その再生処理は医科と同レベルが求められる.しかし,歯科用ハンドピースについては構造の複雑性にもかかわらず,添付文書上,洗浄法に大きな制限があり汚染の除去に不安を禁じ得ない.今回,歯科用ハンドピースの標準的な洗浄の効果を残留たんぱく質量測定によって評価した.
【方法と結果】
歯科用ハンドピース(エアータービンn=8,コントラアングルn=8)の先端に2%BSA(ウシ血清アルブミン)溶液を注射器で注入させた.その後,1時間,室内に静置,ウォッシャーディスインフェクター(Steelco DS610)でハンドピース用洗浄アダプターを装着し,酵素洗剤(MS-EW)を使用し機械洗浄をおこなった(予備洗浄2分,本洗浄1回目10分30℃,本洗浄2回目10分45℃,乾燥20分).機械洗浄後にハンドピースの先端を抽出液内に入れ,水酸化ナトリウム水溶液(1%SDS含む)下に残留たんぱく質を抽出,液中のたんぱく質量をOPA法で測定した.対照として機械洗浄なしでたんぱく質の抽出をおこなったところ(n=1),抽出液中のたんぱく質量は,2133μgあった.一方,洗浄後のハンドピースについては,エアータービン31.5±4.35μg,コントラアングル51.75±9.53μg(平均±標準誤差)であった.
【考察】
今回の検討における設定条件では,洗浄後の残留たんぱく質は医療現場における滅菌保証のガイドライン2015(日本医療機器学会)が示す200μg以下であった.しかし,1)本法によるハンドピース内部に残留するたんぱく質の抽出が適切であったか?,2)添付文書では酵素洗剤の使用が禁止されているものもあり,その場合の洗浄効果は今回と同等か?など,多くの問題が残る.今後は,ハンドピースの完全分解による洗浄効果の評価,製品ごとの添付文書に従った洗浄法の施行のもとでの評価が必要と考える.