第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌2

[65] 蒸気滅菌バリデーションの再検証

―第2報―

三木 智恵美 (留萌市立病院 手術・中央材料室)

【背景】
第1報で得られた再使用可能な医療機器(以下RMD)の滅菌条件について,医療現場において達成できているか否かを確認する.医療現場ではこの達成を確認することによりSALを達成したと解釈するしかない.なお滅菌条件は,その滅菌物を滅菌するための条件でありRMD製造元から提供されるべき条件である.設定条件は滅菌装置に設定される条件であって滅菌条件の達成に応じて設定されるべき条件となる.
【方法】
1.添付文書,取扱説明書,RMDメーカ直接問合せでRMDの滅菌条件を取得.2.滅菌器の滅菌プログラムの設定条件(以下設定条件)で運転した滅菌物の品温測定.3.滅菌物の品温が滅菌条件を満たしているかどうかを確認.4.対象滅菌物を滅菌条件が判明している先端湾曲ビデオスコープ,一般外科セット(マーゲンセット),整形キャニュレイテッドスクリューセット(以下整形キャニュ)とした.

【結果・考察】
先端湾曲ビデオスコープを設定条件132℃6分で検証した結果,滅菌条件132~134℃5分を満たし,かつ,耐熱温度・時間幅内に収まっていることが確認できた.包装積載を含め現在の処理方法は妥当と判断した.一般外科セット,整形キャニュについては設定条件135℃6分とし検証した結果,一般外科セットについては滅菌条件を満たし,耐熱温度・時間幅内に収まっていることが確認できた.しかし,整形キャニュのドライバーハンドル内腔について,他の測定部位,他の滅菌物,コンテナー内が滅菌温度に到達しているにもかかわらず,2分30秒経過しても滅菌温度に到達しなかった.よって設定条件の変更が必要とされた.
【結論】
滅菌物,積載方法,滅菌器,滅菌プログラムは医療現場ごとに異なる.蒸気滅菌は温度を与えて微生物を死に至らしめる.温度が上がらなければ滅菌はできない.今回の結果から,滅菌物の品温測定は必須であり,医療現場にて実施しなければならない確認事項であると認識した.