第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌2

[68] A病院での滅菌物の安全保存期間の検証

古賀 恵美, 佐藤 麻美, 佐藤 小由美, 森山 由香 (大分県済生会日田病院 手術部)

【研究背景】
近年滅菌物の有効期限は,時間依存型無菌性維持(以下TRSM)から事象依存型無菌性維持(以下ERSM)が主流になりつつある.先行研究でもERSMを含めた滅菌有効期限の検討がおこなわれている.A病院では,滅菌物有効期限は3ヶ月と設け定数管理をおこなっている.手術により,滅菌物を保管場所より持ち出す頻度が高い物,持ち出さず有効期限切れとなる物もある.また病棟,外来では,毎日担当者により定数確認をおこなっている.有効期限を検討する上で,現在の保管状況での滅菌物の無菌性は維持できているのかと疑問に思い,滅菌物がどの期間安全に保存できるのかを明らかにする必要があると考えた.
【研究目的】
A病院の管理状況下での滅菌物が維持されているかを明らかにする.
【研究方法】
滅菌日の同じ鑷子を病棟・外来・手術室に設置1ヶ月毎に一般細菌培養へ提出

【結果】
各設置場所からの細菌の検出はなかった.
【考察】
新らは「滅菌物が清浄な環境に保管されている限り,いつまでも無菌のはずであるから有効期限をもうける必要はない.しかし,包装が不十分であったり,汚染しやすい環境に保管されている場合には,注意を喚起するために有効期限を設定して,管理上のけじめをつけること」と述べている.滅菌物は,使用していない器械もその日の担当者によって定数確認がおこなわれる.収納場所は扉付きの棚,回診車の中と様々な場所に収納される.滅菌物を取り扱う人も様々であり,収納場所からの出し入れの際,滅菌パックが破綻する可能性もある.滅菌物の経時的な材質劣化が生じることから有効期限を設けることは必要である.今回の研究で,細菌の検出は無かったことから,有効期限は延長できるものと考えられる.滅菌物の無菌性を維持するためには滅菌物の取り扱いと保管場所の管理が重要である.TRSMとERSMを融合させ安全性を考慮した有効期限の設定を考えていく必要がある.