第95回日本医療機器学会大会

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感染防止

感染防止

[73] フィリピン共和国の世界のベスト20ホスピタル2014ランクイン病院の見学レポート

拮石 哲男 (特定非営利活動法人ユニカセ・ジャパン)

フィリピン共和国の首都マニラ近郊にある,世界クラスの質の高い医療サービスをおこなうセントルークズメディカルセンター・グローバルシティ(St. Luke’s Medical Center Global City以下SLMS)(650床・年間外来270万人)(2012年「世界の最も美しい病院(One of the Most Beautiful Hospital in the World)」,2014年「世界のベストホスピタル2014(20Best Hospital Worldwide for 2014)」を見学.特にトイレ施設についてはATP拭き取り検査(A3法)による汚染度の検査をおこなった.当該国の経済は,GDPは2012年ごろより7%前後の高い伸び率で順調に伸びている.医療関連では,死因の統計で生活習慣に起因するものが上位となっている.しかし,日本人旅行者の罹患の統計からは,経口感染に起因する疾患が多い.このことから経済・生活格差が大きく,かつ,衛生管理が十分でない社会環境と推測する.その中でSLMCが,いかに,どの程度感染防止をしているか,国内の病院施設の既存調査データ(ATP+AMP拭き取り検査)と比較(消化器内視鏡下部の汚れ比較データを参考とした)した.SLMCのトイレ施設3ヶ所(15ポイント)のATP拭き取り検査(A3法)よる汚染度は,30分に1回の定期的なトイレ清掃(日中外来棟)で国内のトイレ施設より汚染度が低かった.SLMCの感染防止レベルは高い.トイレ施設を感染の輪の一部として,感染が広がるリスクは高い.保菌者の来院する病院におけるトイレ施設の定期的な清掃は,感染防止に重要である.清掃は一過性の作業であり,作業者の技能によるところが大きいため,ATP拭き取り検査(A3法)の汚染度見える化で指標による評価と作業者の教育をおこなうことが感染防止に役立つと考える.