第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全2

[83] MDICを活かす医療機器安全とその応用可能性

渡邊 雅俊1,2 (1.国家公務員共済組合連合会東海病院 臨床工学科,2.名古屋市立大学大学院経済学研究科研究員)

【はじめに】
医療の質と安全性の向上を目指し,医療機器情報コミュニケータ(以下MDIC)を活かす医療機器安全(医療機器の品質向上,安全性の確保ならびに適正使用の普及など)のより良いアウトカムを探究している.本報告では,MDIC認定によるキャリアアップとネットワークの良好事例を具体化し,「ものづくり」と「ひとづくり」の観点から,MDICの必要性と新たな展開について考察する. 
【報告内容】
MDICの取得は,認定者である強みを大いに活かした医療機器安全の取り組みにより,医療機器安全管理責任者として任命されるまでの評価に至った.そのうえ,医療機器安全管理責任者としての資質向上にもつながった.この過程では,医療機関と製造販売業者等双方のMDIC間での情報共有および連携により情報の確度が向上し,「医療機器不具合における全国の該当機種の改良につながる」といったMDICを実践的に有効活用した事例がある.また,筆者に係るメディカルスタッフや医療機器製造販売業者等に認定取得を奨励し,情報連携基盤となるMDIC認定者間のネットワークを構築・運用した.さらに,医療機器のリスクマネジメントに係る深い学識および卓越した能力を培うために,思考方法や分析手法を学ぶべく,大学院における研究教育を修了し,現在は大学院研究員として新たな研究課題に取り組んでいる.このようにMDICの取得は,次のステージへの挑戦を可能にしてくれた.
【考察】
より安全で質の高い医療を提供するためには,MDICの有効活用が医療機器安全管理の必須アイテムになると考える.また,MDIC認定者によるネットワークは,わが国の医療機器安全におけるイノベーションの創出を促すであろう.さらに近年,安全の新しい捉え方として注目を集めているレジリエンスエンジニアリングとそれに基づく安全の概念であるSafty‐2の医療機器安全への応用可能性について,MDICによる安全マネジメントの実践が期待される.