第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全

医療安全2

[84] ベッド等病院備品も含めた医療機器保守管理における外部委託の有用性

松月 正樹, 佐生 喬, 山田 昌子 (三重大学医学部附属病院 臨床工学部)

【背景】
医療機器に加え,ベッド・ストレッチャー・車椅子など病院備品の保守管理を目的として,2018年4月に臨床工学部門下で外部委託化した.外部委託者として,パラテクノ㈱1名を医療機器管理室に配置した.医療機器は臨床工学技士も同保守管理業務内容を実施する一部委託とし,病院備品は外部委託による一元管理へ移行した.
【目的】
医療機器と病院備品の保守管理を組合せた外部委託の有用性を考察する.
【方法】
外部委託者による輸液ポンプ・シリンジポンプ・フットポンプ・経腸栄養ポンプの定期保守実施率を算出した.次に,病院備品の保守件数と平均保守対応期間を調査し,保守対応の費用および期間の削減状況を算出した.算出基準は,院外対応時の概算で保守対応期間を7日間,作業費出張費を13,000円とした.調査機関は2019年1月から12月とした.
【結果】
外部委託者による定期保守実施率は,輸液ポンプ:85.6%(1014台),シリンジポンプ:63.6%(521台),フットポンプ:68.8%(64台),経腸栄養ポンプ:57.0%(53台)であった.一方,病院備品の保守件数と平均保守対応期間は,ベッド: 94件・0.82日,ストレッチャー: 9件・2.67日,車椅子:30件・1.27日,その他:21件・1.52日であり,計5.89日および2,002,000円相当の削減であった.
【考察】
外部委託は病院備品154件/年の保守対応の費用および期間を削減する一方で,医療機器の定期保守実施率は75.5%を占め,臨床工学技士の業務負担軽減を担っていると考える.外部委託による病院備品の一元管理・常駐化は,院内問合せ先集約と即日対応が可能となった.しかし,外部委託効果がある病院備品の保守対応は十数件/月と頻度が低い.そこで,普段は医療機器保守管理業務に従事することで効率的な運用に繋がると考える.
【結語】
医療機器と病院備品の保守管理を組合せた外部委託の効率的運用は,臨床工学技士の業務負担軽減と備品稼働率増加の二面に有用である.