第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全2

[85] 在宅血液透析における物品管理システムの構築

藤原 光翼, 樫野 真, 吉田 知司 (徳島文理大学保健福祉学部臨床工学科)

【はじめに】
在宅血液透析(以下HHD)について2施設に聞き取り調査をおこなった.結果,患者が健常人に近い生活をおこなえる程QOLが向上する利点と共に,患者・医療機関の負担が大きくなる問題点があった.特に,HHDに使用する物品管理に対する負担が大きかった.そこで,HHDの物品管理を容易におこなえるアプリとシステムの構築をおこない,両者の負担軽減を目的とした.
【方法】
患者が端末上のアプリに各種管理情報を入力することで医療機関が管理するデータベース(以下DB)が更新され,患者・医療機関の両者が容易にHHDの在庫管理や治療時間の把握をおこなうための端末側アプリとDB管理システムの構築をおこなった.アプリ開発のための端末にはAndroid端末を使用し,アプリ開発はMIT App Inventor 2,バーコード読み込みには,QRコードスキャナ,DBはMySQLを用いた.開発環境としてXAMPPを用いた.

【結果】
患者がアプリを利用してQRコードスキャナでダイアライザのバーコードを読み取ることで,DB内の物品状況ついて必要な物品を一括して更新し在庫状況に反映させた.スタート画面に移動して,治療開始ボタンを押すことで開始時間の表示とDB内を更新し治療の確認が可能となった.治療終了時には,治療終了ボタンを押し,開始から終了までの時間をリアルタイムにDB上に残すことで治療時間の把握を可能とした.ダイアライザ添付のバーコードを読み込むことで,DB内で在庫・使用状況や治療状況の把握も容易になった.
【考察】
アプリで容易にHHD物品の在庫・使用状況をリアルタイムで確認できたことは,患者の利便性,医療機関の作業軽減やヒューマンエラーの減少に繋げられると推察できる.このことは,HHDの問題点を一つクリアできたと考えられる.さらに,治療回数・時間も把握できたことは物品管理だけでなく患者の状態把握にもつながると考えられる.