第95回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

[94] GS1コードが付与できないLIのトレーサビリティ確保への取り組み

石本 洋子1, 前田 嘉子2, 小久保 安朗3, 笠松 慎吾4 (1.福井大学医学部附属病院 滅菌管理部, 2.福井大学医学部附属病院 手術部, 3.福井大学医学部附属病院 手術部・滅菌管理部, 4.福井大学医学部)

【背景と目的】
総合滅菌管理システムAries(以下システム)は,2015年11月の本稼働から4年が経過,この間にプリオン病ハイリスク手術器械のリコール事例や,履歴追跡シミュレーションなどからシステムの導入効果を明らかにしてきた.しかし,手術器械にはGS1コードを付与できない業者貸し出し器械(Loan Instruments:LI)も多数あり,トレーサビリティ確保が難しい場合がある.
福井大学医学部附属病院では,6ケ月を基準に長期LIと短期LIに分けて管理しているが,短期LIではシステム運用ができていなかった.今回,1回のデモ試用器械や短期LIに関してトレーサビリティ確保に取り組んだので報告する.
【取り組み】
短期LIのセット・単品毎にGTINコードを付けた借物プレート(以下プレート)を紐づけ,LIと一緒に借入から返却まで管理する.
予め洗浄工程,滅菌工程と紐づけをしたプレートを複数準備しておき,業者からの受取時に,器械名と選択したプレートとを紐づける.
貸し出し期間中は,プレートのバーコードをハンディ端末で読み取りシステムへ登録することでトレーサビリティを確保する.
プレートは,LIの返却登録により器械と切り離される.
【結果と考察】
長期LIの運用では,GS1コードの代わりに目視確認用コードを用いてセット内容を登録しているが,短期LIの場合,セット内容は員数と全体写真により登録とした.このことにより頻繁に出入りするLIの登録作業を簡略化することに繋がると考える.また,返却後再び同じLIが届く場合,使用するプレートのGTINは異なることになるが,履歴追跡時は短期LIのセット・単品名が表示されるため,使用頻度や借用期間の確認が可能である.
さらに,洗浄装置や滅菌装置,保管庫等と連携している「総合滅菌管理システムAries」では,使用前洗浄の実施状況や,借入から使用までの時間的余裕の有無など,LIの計画的運用の見える化にもつながると考える.