第95回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム3 歯科診療域における再生処理の現状と今後の展望

座長:髙戸 毅(JR東京総合病院),伏見 了(ワタキューセイモア株式会社)

[シンポジウム3] 歯科領域における感染防止対策

畑 了子 (北海道医療大学歯科クリニック)

日本の歯科領域で院内感染防止対策が進まない理由は何だと思いますか.歯科医師および歯科衛生士の院内感染防止に関する教育が不十分であり,歯科開業支援や歯科機器メーカの知識不足,開業後の専門知識の情報収集や研修等の社会資源の不足,そして日本の歯科独特の認識が根強く定着していることだと考える.これらの問題を解決するために,広く日本の歯科医院の実態を把握して現実に即したアプローチを工夫することが必要ではないだろうか.
 院内感染を防止する目的は「患者の命を守る」ことである.同時に医療従事者の命も守らなければならない.この目的は,医科も歯科も同じである.そのために重要なことは,感染症の有無で患者を区別しない「標準予防策の徹底」である.この標準予防策を歯科医院に適応させる具体的な内容と,歯科医院の「院内感染対策マニュアル」について説明する.「洗えない物は滅菌できない」という大前提で,歯科機器の開発・製造が急速に進化することを切に望む.
 また,診療に使用したフェイスシールド表面のエアロゾルによる汚染をATPとその分解物で測定した研究結果から,職種・診療内容・診療時間にかかわらず眼の防護具が必要であることが示唆されたので紹介する.