第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全

医療安全

座長:内田 荘平(福岡看護大学)

[21] 医療ガスボンベに係る安全管理の取り組みについて

―医療ガス容器の巡回点検を実施して―

大西 芳明1, 藤井 有美子1, 坂東 直紀1, 渡辺 瑞季1, 小林 誠司1, 緒方 良輔1, 森西 啓介1, 近田 優介1, 田中 克哉2 (1.徳島大学病院 医療技術部 臨床工学技術部門, 2.徳島大学病院 ME管理センター)

【はじめに】
厚生労働省医政局長発「医療ガスの安全管理について(医政発0906第3号,平成29年9月6日)」にて,初めて臨床工学技士が医療ガス安全管理委員会の委員として明記され,当大学病院でも臨床工学技士が選任された.最新の通知(医政発0817第6号,令和2年8月17日)でも「医療ガスボンベの安全管理に関する留意点」が述べられている.
【目的】
今回,種別が異なる医療ガスボンベが使用されている手術室にて,医療ガス容器の安全管理の取り組みとして,初めて巡回点検を実施したので報告する.
【方法】
納入業者協力の下,医療ガス容器の保管,使用状況等の確認,放置医療ガス容器の回収・返却および廃棄をおこない,医療ガスボンベに係る安全管理について検討した.
【結果】
長期留置されていた放置医療ガス容器12本(液化亜酸化窒素:7本,窒素:3本,パーフロロプロパン:2本)の回収・返却と,容器検査の検査期限3年(1989年3月以前製造)または検査期限5年(1989年4月以降製造)を超過していた放置医療ガス容器10本(窒素:2本,空気:5本,酸素:2本,混合ガス:1本)の回収・廃棄をおこなった.
【考察】
新たに放置医療ガス容器による事故防止策として,令和3年度から医療用ガスボンベの契約改定(仕様書)にて,納入全業者に対し,医療ガス容器管理システム(バーコード管理等)にて履歴管理された情報(高圧ガス保安法を遵守する容器検査,医療ガス充填日等)の提供を義務付けた.今後,医療ガス不明容器・放置容器の防止策として,当院でも新たに医療ガス容器管理システムの導入が必要であると思われる.
【まとめ】
手術室内で使用されている医療ガス容器の保管,使用状況等を把握するため,医療ガス安全管理委員会として,医療ガス容器の巡回点検を実施した.今後,他部署の巡回点検も実施し,医療ガス容器の適正管理をおこない,医療ガス事故防止に務めていきたい.