第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

ものづくり/新技術

ものづくり/新技術

座長:沖野 晃俊(東京工業大学)

[36] 新たに開発した計測システムによる簡易身長体重計の測定精度に関する研究

吉岡 淳1, 熊谷 誠1, 加藤 正太2, 鈴木 博子2, 西本 千尋2, 川前 金幸3 (1.仙台赤十字病院 臨床工学技術課, 2.群馬パース大学保健科学部臨床工学科, 3.山形大学医学部 麻酔科学講座)

【目的】
仰臥位のまま光学的原理で身長を瞬時に測定し,そのデータから体格指数を用いて分析して体重を推定する簡易身長体重計(optical height weight meter:OHW,以下OHW)を開発・報告した.今回はOHWの測定精度に関する検証を試みた.
【方法】
成人男子70名を対象とした.
1)精度.OHW測定:性別,年齢,体型3分類(BMI=21,25,28)を装置に入力後,光学的測定からの身長値とデータ入力から推定体重を得た.次に,身長体重の実測を求めた.身長と体重の測定はメジャーとTanita HD-395を用いて実測した.
2)評価.身長および体重について,OHWと実測値の相関を調べた.相関検定にはピアソンの相関係数を,統計学的検定にはMann-Whitney U-testを用いた.危険率<0.05を有意と判定した.
【結果】
OHW身長測定は171.4±5.7cm(156~185),体重測定は62.8±9.2kg(44~93)だった.実測値では身長は171.2±5.6cm(156~184),体重は65.1±7.6kg(48~90)だった.両者の身長測定の誤差は≦2.0cmだった.体重では,85.0%の対象者で誤差は≦5.0kgだった.OHWと実測の相関は,身長ではr=0.999(p<0.001)の高い正の相関が得られた.体重ではr=0.917(p<0.001)の高い正の相関が得られた.
【総括】
光学的ならびに体格指数法を応用した簡易身長体重計の測定値は実測値と同程度であり高い精度を示した.救急救命センターなどへ搬送される意識不明症例に対しても身長と体重が測定できるため,薬液投与量算出をおこなう上でも適正で安全な治療に大きく貢献でき,その有用性は高いと考える.