第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

保守管理

保守管理

座長:吉岡 淳(仙台赤十字病院)

[58] 外部委託による分娩監視装置の保守管理体制構築

松月 正樹, 山田 昌子 (三重大学医学部附属病院 臨床工学部)

【はじめに】
当院臨床工学部は,中央管理医療機器とベッド・車椅子など病院備品の保守管理を組合せた外部委託の有用性を第95回大会で報告した.担当する外部委託者(パラテクノ社)は,他事業として2019年に分娩監視装置(GEヘルスケア社)の取扱いを開始した.しかし,当院の分娩監視装置は病棟・外来・手術室で個別管理されていた.そこで今回,当部において外部委託者が第一窓口となる分娩監視装置の保守管理体制構築をしたため報告する.
【方法】
保有調査後の対象機器は,コロメトリクス172(GEヘルスケア社):11台,コロメトリクス250(GEヘルスケア社):2台,MT-516(トーイツ社):11台の計24台であり,当部医療機器管理システムへ登録した.病棟・外来・手術室の助産師・看護師に対して,トーイツ社含む分娩監視装置の保守依頼は外部委託者を第一窓口とするフローチャートを周知した.その後,外部委託者の業務量を把握するために,2020年1月から12月における分娩監視装置の保守依頼対応内容を調査した.
【結果】
対応件数は合計25件.対応機種は,コロメトリクス172:14件,コロメトリクス250:2件,MT-516:9件.対応部門は,病棟:23件,外来:1件,手術室:1件.対応内容は,心音不良:13件,通信不良:7件,印字不良:2件,その他:3件であった.
【考察】
対応内容結果の多くが,トランスデューサやLANケーブルの断線に伴う交換業務であった.分娩監視装置は納入後長年経過しており故障頻度増加が想定されるなか,今回,問合せしやすい院内保守が開始されたため,不良確認対応が一時的に増大したと思われる.部品交換実施後の今後は減少すると想定するため外部委託者の従来業務への負担は少ないと考える.当部において外部委託者が実施する分娩監視装置の保守管理は,問合せ先集約化や即日対応可能となることで,助産師・看護師の業務負担軽減を担い,院内の統一した適正使用・安全管理につながるであろう.