第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

COVID-19/感染防止

COVID-19/感染防止

座長:畠山 登(愛知医科大学)

[61] COVID-19対応を見据えたハイブリッド手術室対応用の電子マニュアル化の実現

柳川 康洋 (大阪大学医学部附属病院 医療技術部 放射線部門)

当院では,2019年10月よりハイブリッド手術室が更新され,大動脈ステントグラフト内挿術等のIVRがおこなわれる環境が整備された.新装置導入に伴い,普段ハイブリッド手術室の業務に携わる機会が少ない当直技師が対応できるようにマニュアルを作成することが喫緊の問題となった.そこで,最低限の対応ができるように紙ベースのマニュアルを作成し,可能な限りオンコール対応を減らし当直対応可能な環境を整備した.ところが,2020年12月のCOVID-19第3波の影響で,ハイブリッド手術室も必要であればレッドゾーンとして手術を受け入れることになった.この状況では,マニュアルを見ながらの対応は困難となるため,新たにiPadにマニュアルを登録し活用することで,COVID-19対応という特殊な状況下でも対応できる環境を整備することとしたので報告する.マニュアルの内容は,ハイブリッド手術室での術式ごとの術前準備から術中対応,術後の画像処理に関する内容に関してスライド1枚ごとに簡易的に検索・表示できるようにした.また,COVID-19対応時には防護対策を念入りにおこなうことが最も重要であり,レッドゾーン内での放射線業務においては,参考にするものが無くなる不安要素を取り除くため,PPEに関するマニュアルも閲覧できるようにした.従来の紙ベースのマニュアルでは,術中に詳細確認するのは困難であったが,iPadを活用することにより防護着を纏ったまま手術室内でマニュアルを確認しながら対応できる環境が整った.不慣れなスタッフには安心かつ安全に業務を支援するツールになった.また,当直がこのマニュアルを見ながら初期対応をおこなうことで,オンコール要員が現場に到着するまでの繋ぎの役割を担うものと期待する.さらに,誰が手術に関与しても対応する内容に差が生じないよう,放射線部として統一化を図ると同時に教育用としてボトムアップに繋がるものと期待する.