第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌1

滅菌1

座長:大川 博史(日本ステリ㈱)

[8] ドイツ規格に基づく当院の包装バリデーションの取り組み

小林 誠1, 村上 真通2, 藤本 篤志2, 小林 昌範2 (1.公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院 業務管理部 材料管理課, 2.㈱ニチオン ヘルスケアソリューション事業本部)

【はじめに】
当院では滅菌供給業務においてQMSを構築し滅菌保証をより確実にする取り組みを試行している.洗浄消毒工程や滅菌工程に比べ軽視されがちな包装工程であるが,医療機器を包装し滅菌器へ積載させる工程は滅菌の保証への影響力は大であり,バリデーションによる装置の保証を得られたとしても,装置以外の人手を介する積載/包装作業要素が大きく,このことが滅菌/乾燥の結果に直結する.作業するスタッフ自身の責任が問われる可能性は当然のことながら高い.この問題を解決するには,包装プロセスをバリデーションすることで,質の保証の再現性を証明し,文書化することが必要であると考えた.本来は諸外国のように我が国にも法的根拠が示されるべきであると考えられるが,国内ではガイドラインのこうあるべき論のみなので,今回,法的根拠に基づいているドイツのガイドラインに倣い,実際にドイツで実践されている方法を可能な限り当院で実施しその取り組みを報告する.
【目的】
当院でのSOPの確立と包装バリデーションの実現を図る.
【方法】
ISO,ドイツ規格に準拠したガイドラインに基づき包装(滅菌バッグ)のプロセスに対するバリデーションを当院のシーラーを用いて実施する.
【結果・考察】
ドイツ規格では滅菌工程実現のために,1.SOPの整備,2.組織運用を考慮した滅菌計画,3.滅菌供給に関するスタッフへの教育訓練を前提にしており,ガイドラインにおいても同様である.当ガイドラインによる包装のプロセスをバリデーションすることで,滅菌包装の保証をより確実にするだけでなく現場実践の向上につながり得ることが解った.日本においても滅菌供給の法規格,バリデーションのシステム体系が確立され,滅菌供給の現場に浸透する将来を望みたい.