第96回日本医療機器学会大会

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ポスター演題

[P11] 心臓植込み型デバイスにおける国際標準規格データの比較

渡邉 研人1, 丸山 航平1, 加藤 彩夏1, 石丸 裕美1, 富樫 紀季1, 御厨 翔太1, 大塚 隆弘1, 阿部 祥子1, 中井 歩1, 鈴木 篤2, 薄井 宙男2, 恵木 康壮3, 高澤 賢次3 (1.独立行政法人地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター 臨床工学部, 2.独立行政法人地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター 循環器内科, 3.独立行政法人地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター 心臓血管外科)

【背景】
米国不整脈学会およびデバイスメーカの協働により,心臓植込み型デバイス(CIEDs)情報の国際標準規格が制定された.欧米で実施された先行研究では,業務改善やリコール対応への有用性が報告されているが,国際標準規格で取得可能な情報の具体的な項目は不明である.本研究では,各メーカ製ペースメーカの国際標準規格から取得可能な情報を明らかにすることを目的とした.
【方法】
各メーカの遠隔モニタリングシステムからペースメーカの国際標準規格データを取得し,記載された内容を比較した.
【結果】
取得可能な情報は,(1)デバイス情報(植込みデバイス本体およびリードのメーカ名,モデル名,シリアル番号,植込み日),(2)基本設定項目(モード,レート,トラッキングレート,センサーレート,AVディレイ,出力,パルス幅,感度),(3)モードスイッチ設定項目(モード,レート,心房頻拍検出レート),(4)MRI撮像項目(モード,AVディレイ,出力,パルス幅,感度),(5)測定項目(バッテリ,閾値,波高,リード抵抗,ペーシング率,AF/AT率),(6)PDF(サマリー,イベント心電図)であった.特筆すべき点として,Medtronic社およびBiotronik社は心不全情報(胸郭インピーダンス,アクティビティ)の記載があった.
【考察】
米国では,CIEDs情報の国際標準規格を利用したリアルワールドエビデンスの恩恵を享受できる社会制度ができ上がりつつある.循環器病対策基本法が制定され,循環器疾患に対するデータ活用は今後さらなる重要性を増すと予想される.CIEDs患者においてもより良い医療が提供できるよう,本邦におけるCIEDs情報のビッグデータ化が期待される.
【結語】
CIEDs情報における国際標準規格の比較によりメーカ間での差異が判明した.CIEDs情報の利活用を見据え,診療や研究で有効となり得る項目を明確にしておくことが必要と考える.