第96回日本医療機器学会大会

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ポスター演題

[P22] 誘電体バリア放電プラズマにより生成される活性酸素種を用いた長尺細管内滅菌特性

武藤 玲於奈1, 林 信哉1, 野田 稔2, 山下 佳雄2, 佐野 真那理3, 青木 誠3, 森田 貴之3 (1.九州大学大学院総合理工学府総合理工学専攻, 2.佐賀大学医学部附属病院 材料部, 3.㈱ウドノ医機)

近年,医療技術が目覚ましく進歩する中で,医療機器の性能も高度化・複雑化してきている.低侵襲手術などで使用される細い管腔構造を有する内視鏡やカテーテルなどの開発が進む中,必要となる滅菌性能,特に滅菌剤浸透性への要求は増すばかりである.これらの医療機器は熱に弱く高圧蒸気滅菌できないケースも多い.そのため,滅菌する際には低温滅菌が第一選択となる.現在運用されているそれぞれの低温滅菌法についてメリットとデメリットが存在するが,より安全で確実かつ安価な低温滅菌法が求められており,長きに渡り課題となっている.本研究では新規な滅菌方法として,誘電体バリア放電(DBD)により生成される長寿命活性粒子を滅菌因子として用いる方法を提案し,基礎的特性を把握することを目的としてシリコンゴム製チューブ内壁の滅菌を試みた.実験に用いた大気圧DBDプラズマ源は,アルミナセラミクス製細管内に設置したステンレスメッシュ製の放電電極に,10kHz,10kV程度の低周波高電圧電力を供給し,酸素もしくは空気を放電させることにより高速なイオンや中性活性粒子を生成するものである.本プラズマ源を滅菌対象チューブの一端に設置し,チューブ内にプラズマを流通させることで,長さ60cmまでのチューブ内部に設置した4×105個の好熱菌芽胞(ストリップ型BI)を30分間の処理で滅菌可能である.殺菌因子は,空気プラズマでは一重項酸素分子もしくはNOx,酸素プラズマの場合は一重項酸素分子であると考えられる.大気圧プラズマ処理のシリコンチューブへの影響は小さく,100回程度のプラズマ処理が可能と考えられる.本研究は,JAXA宇宙探査イノベーションハブ(RFP6)の補助を受けておこなわれた.