第96回日本医療機器学会大会

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ポスター演題

ポスター演題

[P7] 人と人の間の飛沫除去に特化した可視光光触媒式小型空気清浄機の開発

秋吉 優史, 古田 雅一 (大阪府立大学放射線研究センター)

新型コロナウイルスに対する感染制御の手段として,人と人の間の飛沫の除去に特化した,可視光光触媒を使用した空気清浄機の開発をおこなった.飛沫はマスクをしていても2割程度が漏洩するとされているが,その飛程が2m程度と短いため大型の空気清浄機を部屋に設置するだけでは除去することができない.本研究で発表する空気清浄機は可視光で応答する三酸化タングステン系の光触媒を使用しているため,ハウジングの構造を簡素化でき,可視光LEDの使用により極めて安価に製造可能である.このため,多数の機体をネットワーク状に配置することや,12cm角×5cmと小型であるため窓口や診察の現場で個々の医療従事者と患者の間に設置することが可能である.また消費電力が小さいためモバイルバッテリやノートPCに接続してのモバイルでの使用も可能であり,様々な場面での活用が考えられる.性能評価としては特殊画像撮影による口腔からの飛沫が除去される挙動観察,フィルタによる粒度別の飛沫除去性能の評価,60cm角×1.5mのクリーンベンチ内で噴霧した飛沫の粒度別捕集性能の評価,38Lデシケーター内でのホルムアルデヒド分解試験による光触媒性能評価,JIS R 1752, 1756 に準拠した大腸菌,バクテリオファージQβに対する抗菌・抗ウイルス性能試験などをおこなっている.簡素な不織布フィルタでも5-25μmの飛沫はほぼ完全に除去,1-5μmでも半分程度除去できたが,0.3-1μmの粒子はほとんどが透過した.捕集実験の結果でも,噴霧器から50cmの距離で口の高さである30-40cm程度の高さにおいて5-25μmの粒子を空気清浄機無しの場合と比較して3%以下にまで低減することができた一方で,0.3-1μmの粒子では変化が見られなかった.しかし,気体分子であるホルムアルデヒドを分解していることからエアロゾルに対しても一定の効果が期待できる.会場にも実機の持参をおこない感染症対策をおこなうと共に展示をおこなう予定である.