第96回日本医療機器学会大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム3 新型コロナウイルスと闘う医療機器たち

座長:加藤 伸彦(北海道情報大学),釈永 清志(富山大学)

[シンポジウム3] 新型コロナウイルスと闘うECMO

百瀬 直樹 (自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床工学部)

【ECMOとは】
心臓あるいは肺が機能不全に陥った患者に,心臓機能を機械的な血液ポンプで,肺機能を膜型人工肺で代行するのが体外式膜型人工肺(ECMO)である.ECMOは完全に心臓や呼吸が停止しても生命維持ができるほど強力な補助が可能であるが,心疾患や肺炎を治す働きはない.ECMOは多くの場合,心不全の治療に用いられてきた.
【新型コロナウイルスとECMO】
新型コロナウイルス感染症(COVID)は肺炎を伴い,重症化した場合には呼吸補助としてのECMOを用いる.今回我々はCOVIDに対するECMOを数多く経験したが,最も脅威を感じたのは第一波で起きた個人防護具の不足であり,これにより隔離室への入室が制限されたことである.通常ECMOの管理は臨床工学技士が担うが,その管理を看護師に頼らなければならなくなった.しかし様々な工夫で,看護師の協力も得られ同時5台のECMO稼動にも対応できた.今回はECMOの概説と新型コロナウイルスに立ち向かう我々の工夫を紹介する.