第97回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

洗浄評価

洗浄評価

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:谷野 雅昭(川崎医科大学)

2:10 PM - 2:20 PM

[18] 洗浄モニタリングでATP 検査を効果的に活用するために

守屋 奈緒1, 長岡 智紀1, 間舘 一憲2 (1.オリンパスメディカルシステムズ㈱感染対策技術研究, 2.オリンパス㈱生体評価基盤技術)

【背景】
洗浄はRMD(再使用可能医療機器)を安全
に使用するために,RMD に付着している汚れ
を除去し,消毒や滅菌をおこなう前処理として
重要である.ATP検査は近年,洗浄モニタリ
ングで使用されるようになってきた.
【目的】
ATPを指標とした洗浄モニタリングの特性
把握.
【方法】
日本,米国,欧州で普及している3社のATP
検査試薬を検査対象とした.ATP標準試薬を
用いた測定値の比較,羊血液を塗布したステン
レス板の拭き取り検査,羊血液を塗布した内視
鏡管路モデルのATP検査をおこなった.
【結果・考察】
ATP測定値とATP濃度との関係は,10,000
RLU以下のATP測定値において,3社とも良
好な直線性を示した.同じ濃度のATP標準試
薬に対する測定値は各社異なり,A社とC社で
は約10倍の差があった.
ステンレス板を用いた拭き取り試験は,3社
共に作業者間の測定値に統計学的有意差があっ
た.拭き取り角度の個人差が影響したのではな
いかと考えられた.
管路モデルの拭き取り検査では,A社とB社
で結果が大きく異なった.A社はA社基準値よ
り100倍以上の高い値を示したが,B社はB社基
準値の3倍以内の値であり基準値を下回る測定
値があった.フラッシュ法で得た回収液を各社
のATP水中検査試薬で測定したところ,A社は
A社基準値の2倍以上,B社はB社基準値未満,
C社は約半数がC社基準値未満であった.これ
は,フラッシュした水で汚れが希釈され,拭き
取り検査より低値となったことが考えられる.
【結語】
ATP測定値は検査手技を含めた回収条件の
影響を大きく受けることから,メーカ推奨の基
準値を用いて洗浄の合否判定をすることは難し
い可能性がある.
そのため,ATPを指標とした洗浄モニタリ
ングをおこなう際には,ATP測定値の特性を
把握し,洗浄効果を確認したい機器やサイト毎
に,合否判定の基準値を設定するのが望ましい
と考えられる.