第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

臨床工学

臨床工学

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:加藤 伸彦(北海道情報大学)

2:10 PM - 2:20 PM

[2] 汎用計測器を用いたラジオ波メス出力測定法の測定精度の検証

吉澤 光崇, 伴在 高志 (社会医療法人抱生会丸の内病院 臨床工学課)

【緒言】
ラジオ波メスの主要搬送周波数帯は3.8MHz
であり,一般的な電気メスの10倍高い周波数で
ある.ラジオ波メスは電気メスに分類されるが,
ラジオ波メス出力(W)を電気メスアナライザ
で測定した場合,出力設定値に対し測定値が大
幅に低くなる問題がアナライザ黎明期より存在
していた.現在もこの問題は解決していない.
そこで我々は,周波数特性の良い抵抗器とデジ
タルオシロスコープを活用したラジオ波メスの
出力測定法の測定精度の検証をした.
【方法】
SurgitronEMC(ellman社)の3つの出力モー
ド(純切開,混合切開,止血凝固)において,
メタルクラッド抵抗器(無誘導,500Ω)へ出
力し,オシロスコープでサンプリングした瞬時
電圧データを用いて,PCにて出力(W)を算
出した.3.8MHzにおけるメタルクラッド抵抗
器のインピーダンスは516Ωであり,この値を
演算に用いた.出力ダイヤル1~9について各
3回測定し,平均値を測定値とした.
【結果】
各モードにて,出力を算出した結果は基準値
(出力の公表データ)に対し相対誤差が10%以
下であった(ダイヤル1以外).また本手法に
よる測定値と基準値のLinの一致相関係数(以
下CCC)を推定した結果,純切開のCCCは0.9856
(0.9926 ~ 0.9962), 混合切開のCCCは0.9938
(0.9867 ~ 0.9971), 止血凝固のCCCは0.9920
(0.9844 ~ 0.9960)であり,McBride評価基準
において信頼性は担保されていた.
【考察】
各モードのダイヤル1の出力測定値は基準
値に対する相対誤差が20%を超えたが,ダイヤ
ル1の基準値は定格出力電力の10%未満のた
め,JISで精度を問われない.本手法および結
果に関し,メーカの見解を伺ったところ「問題
無し」との回答を得て,本手法は実用できる.
【結語】
オシロスコープは様々な医療機器点検に使
用できる汎用計測器である.オシロスコープは
ラジオ波メスの出力点検を可能にし,また汎用
計測器であるために実質的な保守コストを抑え
ることを可能にする.