第97回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄評価

洗浄評価

2022年6月3日(金) 14:00 〜 15:00 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:谷野 雅昭(川崎医科大学)

14:50 〜 15:00

[22] 耳鏡の洗浄評価

三原 良太1, 金原 純司2, 田中 潔2 (1.日本ステリ㈱, 2.北里大学病院 中央滅菌材料センター)

【目的】
耳鏡の内腔に綿球の一部が異物として混入
した状況で,滅菌する事象を経験した. 
そこで,日常実践しているウォッシャーディ
スインフェクター(以下WD)洗浄を含めた耳
鏡の洗浄方法について検討をおこなったため報
告する.
【方法】
使用済み耳鏡を以下の3種類(A,B,C)
の洗浄方法で洗浄をおこない,各20個を色素染
色法(使用試薬:アミドブラック10B,協力会社:
クリーンケミカル)による直接判定法にて洗浄
評価をおこなった.
また,未洗浄の耳鏡20個についても同様の方
法で評価をおこなった.
A  40個の耳鏡を洗浄かごに入れ,WDにて
洗浄(内20個評価)
B  40個の耳鏡を洗浄かごに入れ,予備洗浄
後にWDにて洗浄(内20個評価)
C  20個の耳鏡を洗浄かごに入れ,WDにて
洗浄
なお,WDの洗浄工程はすべて予洗1分,洗
浄3分(93℃,アルカリ洗剤),すすぎ1分×
2回,乾燥20分でおこない,予備洗浄は恒温槽
(40℃,中性の酵素配合浸漬洗浄剤)へ10分間
浸漬した.
【結果】
A,B,Cの方法で洗浄した耳鏡から残留蛋
白質反応は,1つも出なかった.未洗浄の耳鏡
から僅かな残留蛋白質反応が4個あり,そのう
ち内腔の反応が3個あった.また,積載数40個
の耳鏡においてWD洗浄後に4個の耳鏡が1つ
に重なる事象が発生した.
【考察】
洗浄後の耳鏡から残留蛋白質反応が出な
かったため,予備洗浄なしでWD洗浄をおこな
うことは問題ないと考えられる.しかし,内腔
に綿球が詰まっているとWD洗浄のみでは除去
できないリスクがあるため,洗浄前後の目視作
業が有効かつ必要であると考えられる.
また,洗浄中に耳鏡が重なることは洗浄不
良の要因となる.そこで,洗浄かごにシリコン
チューブを用いた網目構造の仕切りを作製し
た.耳鏡を逆さまに1個ずつ網目に入れる積載
方法とすることで再発防止できると考えられる.